「箸」上手に持って美味しく
チョ。はし。食物をはさむはし。=莇。手元のある漢和辞典にはこうあっただけ。ならば「はし」
はどう説明したらいいのだろう。何年も前のことを思い出した。
身近なものを過不足なく相手に伝えるというゲームをやった。グループを三つ以上に分ける。誰もが知っているものについて、Aグループ数名は知らないと仮定する。Bグループの代表者が説明役になる。Cグループは審判役で、よく知っているものだから過不足を指摘しやすい。実際やってみると、過にはすぐなるが、不足の部分が意外に多い。ゲームは攻守ところを替えて結構盛り上がったし、説明するということの難しさも体験できた。
箸は、食べ物などをはさみ取るときに使う二本の細い棒。これで合格、正しく説明したと思っていると、質問が相次いだ。
以下、簡単に補足の説明をする。過不足は大有りと重々承知の上で。
二本の、より一対のというほうがいい。長さが違うと使いにくいから。日常の食事のほか、儀式その他でも使われてきた。日常のものでも菜箸、取り箸、銘々箸などがある。江戸時代末に考案され、便利さと清潔さを備えた割り箸が普及している。箸の材料には、杉・柳・竹のほか南天・
桑・紫檀・黒檀、金・銀・鉄・アルミニウム、象牙・鹿の角、プラスチックと幅広い。木箸は生地のままと塗り箸とがある。
『古事記』にあるヤマタノオロチ退治のきっかけになったのは川上から箸が流れてきたからで、古くから使われてきた語である。そのくらいだから語源説もにぎやかだ。
最近は正しい箸の持ち方ができない人が増えている。最小限のマナーだと思うのだが。食事作法のエチケット違反では移り箸・迷い箸など十項目ほどある。
箸にも棒にも掛からぬような話で、御免。