KIRACO(きらこ)

「きらこ」ご愛読の皆さんの中には、昨年秋から始まって、この二月に決着のついた、アベマテレビ限定放映のオーディション番組《JGT》=ジャパンゴットタレントについて少しでもご存じだった方、いらしたでしょうか?

そう、以前あの《スーザンボイルおばさん》が想定外の美しい歌声で審査員を唸らせ、その後世界中に名を馳せたという、例の海外番組《AGT=アメリカンゴットタレント》の亜流版イベント、それが今回の《JGT》なのでした

私がそれを知ったきっかけは昨年夏、あるマスコミ関係の方から

「今、こういう企画が進められていて、全国に応募を呼び掛けているらしいですよ。中田さん如何ですか?」と声をかけられたのが始まりでした。

「何?それ!」

途端に私持ち前の《好奇心》に火が付いてしまったのです。幼い頃から「知りたがり虫」と綽名されていたくらい何にでもクビを突っ込んでは物事をややこしくする、《困ったチャン》だったようで。

ついでに言えばもう一つ厄介なのが空想癖、なのです。ひたすら自分にいいように想像を拡げ、独り悦に入るという、おめでたい子なのでした。

皆さん落語の《湯屋番》という演目をご存じだと思うのですが、銭湯の番台で働くことになった男の話で、女湯に目がいき、次々と膨らむ空想の世界…挙句の果て番台から落っこちてしまう、というそんな他愛もない筋書きなのですが、私も負けず劣らず…。

兎に角JGTがどういう流れなのかスマホで調べてみると、オーディションを受けるまでにはたいへんな手順が必要なようで、多岐に亘った項目のアンケート。つまり書類審査を突破しなくてはならない。

そこをどうにか通り抜け、演奏まで漕ぎ付けたのは秋も半ばを過ぎた頃でした。

第一次選考の会場は東京タワーに近い大きなスタジオ。私の演目は当然《逆さ歌》です。曲はお得意の《アメイジンググレイス》。審査員はほとんど男性ばかりで十数人。

聴けば応募者数は予想外に多く、九州とか北海道とか遠方からも。それも宿泊を含めすべて自費なのだそうで、もうビックリ!

皆さんの意気込みは、圧倒されんばかりのその表情からもヒシヒシと伝わって来ます。種目もブレイクダンスだったり、プロ級のジャズギターだったり。

とにかく好奇心満々の私にとっては絶好の見もの、なのでした。

そんな風に半分お楽しみ気分でやって来て、気が付いたらいつの間にか私は《準決勝》まで漕ぎつけていたのです。

当日の審査員は四人。なんとGACKTさんを筆頭に山田孝之さん、広瀬アリスさん、浜田雅功さんというなかなかの顔ぶれでした。

会場も広くてキャパも一三〇〇超え!

でも昔から私には《聴衆が多いほど気楽になれる》というヘンな習性があって、ステージ上からあのGACKTさんともちょっとしたやりとりが出来たほどリラックスしきっていました。

結局四人の審査員全員が《決勝進出の権・・・利獲得!》のサインボタンを押して下さったのです。

でもファイナルの正式発表は翌年二月と聞いていたので、のんびり構えていたら、「決勝進出おめでとう!」のメールが次々と。あわててスマホを見ると確かに決勝進出八人の中に、《中田芳子》の名が!

実はこれは《決勝進出者名》ではなく、《決勝進出候補者名》だったのです。でも、なんせ《湯屋番》そこのけのおめでたい人間、空想は忽ち膨らみました。

どーしよう!ファイナル進出?優勝したら賞金は1千万円だと!そんな大金入ったら強盗に狙われる!

そうだ!家の周りに《防犯カメラ》取り付けなくっちゃ!

いや、直ぐにどこかに寄付してしまえばいいか?

それとも一千万を懐に、世界一周の豪華クルーズ船に乗って優雅な時を満喫する?

  夢は際限なく膨らみます。

ところが…結果はなんと敢え無い轟沈。結局《準決勝》どまりで終ってしまったのです。

まさに《獲らぬタヌキの皮算用》!

でも半年近く踊らされてきたJGTでしたが、今思い返すと長い人生の中でもトップクラスと言えるくらいの楽しいイベントでした。

この先、又こんなチャンスがあったら性懲りもなく狸を追いかけてるナカダ…に違いありません!