KIRACO(きらこ)

vol161 「皿」河童のトレードマーク

2023年6月15日

漢字を楽しむ

今回は、私の「漢字おもしろ講座」の紙上実況中継から。しばらくお付き合いください、例によって頭の柔軟体操です。

……あなたが博物館へ入ったとしましょう。係員が説明を始めます。
「第一室。ここはふちが低く幅の広い器の盆が展示されています。いかがです、温かみのある曲線……。第二室。次の皿は……」

といいかけて、係員は口を閉ざしてしまいました。どうしたというのでしょう。……

また別のときに、皿から思い浮かべるものは何がある?小学生向けの講座で聞いたところ、河童の頭!と元気な答えが返ってきた。

河童はカハワッパの変化した形。もちろん想像上の動物。水陸両生で、五歳くらいの大きさ。口先がとがり、背に甲羅やうろこがある。頭に皿があり、水が入っている。この水があるうちは陸上でも力が強く、なくなると死ぬ。水の中に人馬を引き入れてその生血を吸う。これがそのプロフィール。

芥川龍之介は短編小説『河童』を書いた。

芋銭(うせん)のカッパかカッパの芋銭かといわれた画家小川芋銭、戦後なまめかしい女性の河童を描いた清水崑。河童は多くの芸術家を魅了する不思議な力も持っているようだ。

河童の川流れという。その道の名人・達人といわれる人でも、時には失敗することがある、ということわざ。弘法も筆の誤り、猿も木から落ちる、も同じこと。

さて、私の講座では宿題がない。それはお客様の次回出席する足を重くしないため。問題を投げかけたら、必ず解答例を示す。……次の皿は、ぬすまれたのです。どうしてかって?次・皿と書くと、盗むという字になりますから……。もともとこの字はお皿の食べ物を見て欲しくなり、羨ましげによだれを流すの意味でした。昔は盜と書いた、その省略した形が盗なのです。