鳥の大群に遭遇し、そのあまりの多さに驚いたことがある人は少なくないのではないでしょうか。もしかしたら、それは、「ムクドリ」の群れかもしれません。 一見、小さくてかわいらしい見た目をしているムクドリですが、近年、夜中に騒音を上げるなどのことから街中においては、害鳥として扱われています。
そこで、習志野市公園緑地課でも、JR津田沼駅南口に隣接する津田沼公園をねぐらとしている「ムクドリ」の群れを追い払う取り組みを行っています。今回の号では、これまでに実施しているムクドリの追い払い方法をご紹介いたします。
協力:習志野市役所公園緑地課
そもそもムクドリってどんな鳥?
ムクドリは全長約24センチメートル、翼開長40センチメートルほどの鳥です。スズメより大きくハトより小さいサイズです。「キュルキュル」、「リャーリャー」、「ギャーギャー」などの様々な鳴き声で鳴きます。
生息地は、全国の森林から市街地までと幅広く、街中でも、群れ地上を歩きながら草の中に嘴を突っ込んで餌を探している姿をよく見かけます。
名前の由来は、椋の木の実を食べることから「椋鳥( ムクドリ)」と呼ばれたとされていますが、実
際は雑食で、木の実や種子、虫の幼虫など様々なものを食べています。
また、ムクドリは外敵から身を守るため群れを成す習性があり、ねぐらとしている場所は、天敵である鷹などの猛禽類が少ない市街地を好む傾向があります。
繁殖シーズンが終わる、6~7月ごろから群れをつくり、秋から冬にかけては数千羽から十数万羽の大きな群れとなって大規模な集団ねぐらを形成します。
JR津田沼駅南口の津田沼公園に集まるムクドリ
JR津田沼駅南口の津田沼公園では、夕方になると、ムクドリの集団が公園の上空を飛び回り、公園内のケヤキに舞い降ります。その時の、「ギャーギャー」といった騒々しい鳴き声は、通行人に恐怖感を与えるほどです。
ムクドリたちにとって、津田沼公園は、郊外の森林で夜を過ごすよりも明るく、人通りが多いことから、天敵から身を守るのに適した場所なのだと考えられます。
どうして追い払うの?
ムクドリは、前述のとおり群れを成す習性があり、夕方にねぐらに戻る際は、大規模な集団ねぐらを形成します。
ムクドリの集団から落とされる大量のフンは、道路を汚すだけでなく、動物性の餌を食べているため強い臭気を放ち、さらに乾燥したフンは舞い上がるため、アレルギーや感染症などの健康被害を引き起すと言われています。
また、ムクドリの集団から放たれる鳴き声は夜中でも一面に響き渡るため、フンのみでなく、騒音も問題となっています。
市で行っているムクドリの追い払い方法
習志野市公園緑地課が行っている追い払いは、ムクドリにケガをさせることなく安全に追い払
える方法をとっており、その中でも、近年行っている2つの方法をご紹介いたします。
一つ目は、「音」による追い払いです。この方法は、令和4年度から実施しており、ムクドリの嫌が音を専用の機材から出し追い払いを行います。ムクドリを津田沼公園周辺から追い払うため、広範囲で実施し、最終的に公園内に1羽もいなくなるまで行います。
なお、追い払ったムクドリは、散らばるため小さな群れとなり、新たな別の場所にねぐらを形成します。ねぐらを形成するまでの間、一時的に周辺地域へ群れが逃げ込むこともありますが、ほとんどの場合、一日程度でいなくなります。
二つ目は、「鷹匠の放鷹」による追い払いです。この方法は、令和2年度から実施しており、狩猟でなく、訓練された鷹を使用した追い払いです。ムクドリにとって鷹は、捕食者であり天敵です。そのめ、天敵から逃げるという生き物の本能を利用し、津田沼公園からの追い払いを実施しています。
このように、習志野市公園緑地課では、「音」による追い払いと、「鷹匠の放鷹」による追い払いを実施しています。また時には、「鷹に追われる恐怖」と「音による不快さ」を与え組み合わせることによる相乗効果を期待し実施しています。
直近では、令和5年7月19日(水)に、2つの方法を組み合わせた追い払いを実施したところ、公園内に飛来するムクドリが大幅に減少いたしました。
周辺施設との連携
津田沼公園周辺の施設においても同様な状況が見受けられることから、ロハル前道路の電線に飛来していたムクドリについては、電力会社に依頼し、飛来防止策を実施していただきました。その他にも、習志野市道路管理課とも連携を図り、歩道や公園におけるフン害に伴う清掃活動なども行っています。
また、習志野市公園緑地課にて、ムクドリの追い払いを実施する際は、周辺施設である千葉工業大学の樹木へムクドリの群れが逃げ込むことがあるため、千葉工業大学とも連携を図り実施しています。
千葉工業大学では、花火の音による追い払いや鷹の模型の設置、スピーカーからの鷹の鳴き声の発生などのムクドリ対策を行っているとのことです。
ムクドリとの向き合い方について
ムクドリは、かつて農作物に被害を与える虫などを食べていたことから、農業をする人からは益鳥とされ、人々と共生をしておりました。しかし近年は、農業の衰退や森林等の再開発が進み、明るく、人通りが多く、天敵が少ないなどの条件が整った市街地に集まるようになり害鳥と呼ばれるようになりました。
ムクドリが市街地に集まるようになった背景には人々にも原因があることから、ムクドリをワルモノにするのでなく、共生をはかっていきたいと考えています。そのためには、中心市街地へのムクドリの侵入を防止することが不可欠であるため、引き続き追い払いを実施し、他自治体の対策事例を研究しながら、より効果的な対策を検討していきます。