「図書館は『知』のワンダーランドだ」という言葉を耳にしたことはありますか。出典は明確ではありませんが、図書館だったらやっぱり『不思議の国のアリス(原題:Alice,s Adventuers in Wonderland』(ルイス・キャロル/著)からかなと思います。
習志野市の図書館は10月にシステム更新をし、ホームページなどリニューアルしました。
今回は新しく始まったサービスのことなどを交えながら楽しく素晴らしい場所(?)としての図書館のご紹介をします。
習志野市立図書館ってこんな施設です
習志野市の図書館は昭和41(1966)年10月1日に、京成大久保駅前にあった習志野市民会館の図書室に始まります。
現在は、中央図書館、東習志野図書館、新習志野図書館、谷津図書館の4つの図書館と移動図書館きぼう号で図書館サービスを提供しています。蔵書数は約39万5千冊(令和5年3月末)で、市民1人当たり約2・25冊の蔵書があることになります。
令和4(2022)年からは、市役所の社会教育課窓口で予約資料の受取もできるようになりました。市民の皆さんがどこにお住まいでも徒歩や自転車で行ける範囲で図書館の本を借りられるようにしているのが習志野市の図書館の特色です。また、図書館の利用も活発です。
令和元(2019)年11月に開館した中央図書館は、京成大久保駅より徒歩2分、夜8時まで開館しているとても便利な図書館で、令和4(2022)年度は年間約28万人の入館があるなど、毎日多くの方に利用されています。
皆さんは活字離れという言葉をよく聞くことがあると思われますが、市立図書館の貸出冊数はまだまだ多く、令和4(2022)年度の個人向け貸出冊数は約111万8千冊で、市民1人当り、1年間に6・36冊の本を図書館で借りられた計算になります。
この数値は千葉県内の公立図書館の平均(令和3(2021)年度:4・59冊)よりずっと多く、習志野市民の皆さんは読書が好きと言えるかもしれません。
平成25年度 (2013) | 令和4年度 (2022) | ||
蔵書 冊数 | 一般向け図書 | 251,146冊 | 269,633冊 |
児童向け図書 | 121,498冊 | 125,906冊 | |
貸出 冊数 | 個人貸出冊数 | 1,046,045冊 | 1,118,969冊 |
人口1人当貸出数 | 6.15冊 | 6.36冊 |
図書館のおすすめの使い方をご紹介
興味の無い分野の書棚を覗いてみる
図書館の本は主題別に、「日本十進分類法」という分類方法に基づき並べています。この「日本十進分類法」では「000総記」から「999国際語による文学」まで1,000の数字で森羅万象ありとあらゆる本を分類します。つまり、図書館はありとあらゆる分野の本が書棚に並んでいます。
図書館に来られると、小説や自分の趣味、仕事に関係する本のある書棚をご覧になることが多いと思います。ぜひ、普段は全く関心の無い分野の棚もご覧になってください。
図書館職員が購入する本を選ぶとき、こんな内容の本って珍しいよねと思うとつい選書してしまいます。図書館の書棚にはそんな本がたくさんあります。思わぬ本との出会い、発見があるのが図書館の楽しみです。
児童書もおススメ
図書館では子どもの学習に役立つ本を揃えていますが、写真やイラストが多いので大人が読んでも十分楽しめる本も多いです。ぜひ児童書コーナーも覗いてみてください。理科の実験工作の本など、一般向けの書棚には無いジャンルですが、なかなか侮れません。
児童書の新着本コーナーを見るだけでも楽しいですよ。
図書館から図書館へ広がる図書の世界
図書館の運営などを定めた図書館法では「他の図書館、国立国会図書館(中略)と緊密に連絡し、協力し、図書館資料の相互貸借を行うこと」と定められています。
普通、自治体の公共資産は市民のためのもので、他の自治体の市民は利用できません。
公共資産である図書館資料をお互いに貸し借り(相互貸借)を行うことを法で定めていることは不思議なことです。これは無限ともいえる本について、一つの図書館で利用者の要望に応えるのは不可能だという認識に基づいて定められたものです。
習志野市立図書館でも利用者の皆さんからいただいたリクエスト図書を所蔵していないときは千葉県立図書館や千葉県内の他市の図書館からお借りして提供しています。
皆さんが図書館のカウンターに出してくださる1枚のリクエストカードは、千葉県立図書館と県内の市町村立図書館の合計蔵書冊数約2,000万冊の本の世界へ繋がっているのです。
走る図書館、きぼう号
お住まいの近くに市立図書館がない市民の方のために図書の貸出しサービスをするバス型の図書館車、移動図書館きぼう号は、昭和47(1972)年より巡回を開始し、現在の車両は5代目になります。
移動図書館車は1台ずつ、各自治体からの依頼を受けて専門業者が市販のトラックを改造し製造しているので、それぞれが世界で唯一の車です。本市のきぼう号は、緑色をベースにした車体に子どもに人気の絵本「バーバーパパ」のキャラクターを描いているのが目印です。小説や料理の本など気軽に読める一般書や、絵本や物語などの児童書を、約2,000冊を積載しています。現在は、小学校など、18か所の巡回ステーションを2週間に1回ずつ巡回しています。
巡回日は広報習志野の毎月1日号に掲載しています。巡回ステーションの詳しい場所は、きぼう号の運行を担当している新習志野図書館(047-453-3399)にお問い合わせください。
きぼう号は巡回日時が決まっているため、ご都合により利用できないこともあるかと思われますが、そういう時は、借りていた本を市立図書館に返却したり、予約した資料の受取先を変更することもできます。きぼう号は、ご存じない方も多いかもしれませんが、巡回先の小学校では子どもに大人気です。
世界でただ1台のきぼう号を、お気軽にご利用ください。
予約を上手に利用しよう
図書館を利用する皆さんは新しい本や話題の本をお読みになりたいと思われて図書館に来られることも多いと思われますが、そういう本は貸出中で書棚にはありません。図書館の本は誰も借りていないから書棚にあるのです。
そこで、確実にお読みになりたい本は予約サービスをご利用してください。新刊の予約受付は出版社の発売日が公表されたら電話かカウンターで受け付けています。発売日からではありませんのでお間違えのないように。
ホームページのマイページを活用しよう
今回のシステム更新では、図書館のホームページのデザインも一新し、ユニバーサルデザインに配慮した、誰でも使いやすいシンプルな画面になりました。また、図書館のホームページには、自分が利用しやすいよう設定できるマイページ機能があります。
① 自分の利用状況が一目瞭然
借りている本や予約している本の冊数や書名が確認できます。また、貸出延長や予約取消、予約受取館の変更などの申請もできます。
② お気に入り一覧と貸出履歴
お気に入り一覧には、図書館の本を検索した時に、気になった本をカテゴリ別に登録することができます。後で読んでみようと思ったときに便利な機能です。また、貸出履歴に借りた本の記録を残すこともできます。
③ 新着図書情報をメールでお知らせ
お気に入りの作家さんなどを登録しておくと、図書館に新刊が入った時にメールでお知らせします。
④ 予約取り置きスキップ
予約した本の順番が来そうだけど、旅行に行くなど、取りに行けそうもない時がありますよね。
そういう場合、指定した期間は、次に待っている別の方に本をまわすことができます。予約の順番は変わりませんので、期間が過ぎれば最優先で資料を取り置きします。
⑤ スマートフォン画面で図書館カード番号を表示
今回のシステム更新から始まる新しいサービスです。スマートフォンの画面で図書館カード番号のバーコードを表示します。
図書館カードを忘れても本が借りられます。
講座を楽しもう
図書館ではさまざまな講座も開催しており、本を読むこと以外でも楽しめます。11月18日㈯には東習志野図書館で「健康投資 少ない老後資金でも大丈夫」、11月25日㈯には新習志野図書館で「アロマキャンドル教室」が開催されます(定員のため受付終了の場合有)。1月と2月には谷津図書館他で恒例の落語講座も開催する予定です。そして講座の内容についてもっと知りたいと思われたら、図書館で関連するテーマの本を借りてみてください。講座と本で知識を深められるのも図書館ならではの楽しみ方です。
街の中で本屋さんの数が少なくなりました。「本」という存在自体を見かける機会が減り、そんな本がたくさんある図書館という場所も不思議な施設になっていくのかもしれません。
また、様々な情報をインターネットで簡単に、リアルタイムで得ることができるようになり、便利になりました。本で調べるということもされなくなっています。
しかしインターネットの情報は誰が発信しているのかがわからない、顔の見えない情報でもあります。本には、必ず、著者や装丁者、出版者などその本の内容に責任をもつ方がいます。習志野市の図書館は約40万冊の図書を所蔵していますが、それは40万の人が手がけ、本という形にした創作物があるということでもあります。そんなふうに、図書館を見ていていだくと、図書館は本当に「Wonderland」に見えてくるかもしれませんよ。