KIRACO(きらこ)

vol165 衣食足りて礼節を知る

2024年1月25日

湊町暮らし

鮗(コノシロ)漁が順調だ。当歳魚をコハダ、成魚は鮗、稚魚は新子(江戸前鮓の重要なレギュラーだ)。今年の10月から湾奥一帯に大量の鮗が分布、船橋漁協所属の旋網3船団で出漁時にはキロ35円、100トン前後が水揚げされ、いずれも水産加工業者に買い取られていき、用途は養殖魚の餌や他の蛋白源として冷凍貯蔵される。この時期5m/s〜6m/s以下の北寄の風なら出漁する。西寄だったら「うねり」が高くなり満パイに積んだ運搬船の運航が難しく出漁を断念する。因みに冷たい冬の風は比重が夏風に比べて重く風に力が有り馬鹿にすると危険この上なし。そんな訳で出漁日数は週一程度だ。こうして養殖漁業に貢献している。一方蛋白源供給の主役は畜産だ。国の指導もあって人手不足を解消しロボット、ハイテクと牛舎を近代化、大量の乳牛を飼育し海外との競争力を高め順調に可動し始めた矢先に想定外の「フェイクマン、プーチンの戦争が勃発」。ロシアから欧州へのLNGが止まり、ウクライナからの穀物の輸出も止まった。結果エネルギーと飼料の高騰を招き、安価な海外の飼料に頼りきった事業が根底から崩れる大打撃を受け先の見通しがたたない状態に。やる気充分、近代的センスと知恵を発揮し進めた事業が。一方適当に小規模で牛は自然界に放牧して営む畜産家は無理なく安定している様だ。即ち身近な環境を味方にしたことが正解らしい。大規模経営は大資本が必要でバランスシートが外力に影響されやすい。地産地消、シンプルイズベストと言うことか。

今年の東京湾奥の鮗漁は運よく漁場が東から千葉、稲毛、幕張、習志野、船橋、市川、浦安沖とほとんど目の前船橋沖、近距離で燃費も良く安全で助かっている。

今日2023年12月11日水産タイムス第一面に「ノルウェー首相豊洲など視察」サーモンやサバPR「日本でのサーモンやサバの人気が誇り」と、いい商売が出来て喜び一パイだ。日本の首相は気の毒に仲間の日本人から逃げ場の無い堅固な議事堂の中で渋顔に囲まれて、海の真中に居ても魚と話したことも無い余裕も無い、かわいそうだ。仕方が無いかも。世界は「パンドラ」の箱を開けたのか。中東「ガザ」で戦争、パレスチナ人はガザから逃げられない「食糧も、水も、住む家も、衣服も無い」衣食足りて人の礼節を知る。

「プーチンが市民を殺戮するのをやめて早く停戦すべきだと言った」。ウクライナで文化的建築物の破壊、民家の破壊、これらは狙い打ちしなければ当てられない。ガザは長時間に及ぶ憎しみと恨みが積り積って貧者が堪忍袋の尾が切れた、のが争いの動機。

ウクライナ戦争はプーチンの私利私欲。ロシア帝国の復活、ロシア国土拡大の為にウクライナの占領を推進している。一方米国内では民主党と共和党が二分して訳がわからない。COP28を余所に気候変動が進行、極地の氷が融解、アマゾンの森林が激減、露、中国、北朝鮮は原爆増産、国連は機能停止世界中で群雄割拠このままでは人類の滅亡が有り得る。

旬の味「コハダ

コロナパンデミック前、築地の「鮓三昧」、店に入ると大型の各鮓種のカラーポスターが目に付く。注文に「あれと、これと、あれ」時間が掛る。漁師はいらつき「コハダ10カン」さっさと決める。江戸前鮓の原点は「コハダ」だ。子母澤寛の「勝海舟」に小分の杉さんの好物だ。海舟は西洋気触れで嫌いだ。鮗は「ニシン科」で小骨が多く幼魚のコバダは酢漬けで骨が気にならなく飯との相性が抜群。相場はkg1000円前後。鮓種で消費され100kg以上出荷すると即暴落する。鮗は昔から粕漬で正月に食されている。