KIRACO(きらこ)

…ったくドイツもコイツも

2024年9月5日

独断独語独り言

動悸がする。
憧れの君に会えるから、ならば幸せ。そんな純情可憐繊細な神経は人生の半分以上を過ごすこの地で疾の昔に摩滅した。たかが自宅の階段で息切れがする。脚も顔も浮腫んでいる。これは少々不味かろうと先ずホームドクターに。間遠な予約の合間になんだか馬鹿馬鹿しくなってきた。どうせ原因はストレスだ。負荷心電図なんて検査しなくても十二分負荷はかかっている。今の日本の状況には疎い。大して差はないのかもしれない。ただ、ここでは常に「外国人」という枕詞のつく私。生存自体がストレスだ。

何が一番負荷になっているのか考えても多過ぎて。が今、欧米でキーワードの移民/不法移民がまず神経に刺さる。そう、私は移民という分類に入る。自分では名誉市民くらいのつもりでいるのだけれど。

言葉を変えて曖昧にし亡命、難民など部分集合の枠は撤去、全て全体集合で移民となった。なので不法入国者も私もいつの間にか同じ「移民」で括られている。

世界中で聖母メルケルと祭り上げられた前首相。彼女の残した禍根は刺青以上に厄介でドイツがすでに負う永劫の十字架に百万本の五寸釘を打ち込んだようなものだ。難民の大量流入も理由は「ギャンブルの借金」から「夫の暴力」「自由を満喫したい」まで端からなんでもありだった。今や経済難民、不法入国の方が多数。法の網を掻い潜るということは法の保護も受けられないということだ。犯罪組織に呑み込まれるのに時間はかからない。反ユダヤの動きに苦慮するところに百万単位のイスラム流入。そこへイスラエルvsパレスチナの戦火。狭い庭に虎と狼を一緒に放ったようなものだ。

ドイツの低所得納税者の収入を遥かに上回る手当(衣食住+現金支給)を大盤振る舞いしたため即労働力、と期待され同朋として法的に優遇されたウクライナ難民も「なぜ働く必要がある」と予想を覆し無職が急増。これでは外国人排斥、極右傾向が高まっても不思議なかろう。潤沢な現金支給を辞め指定店舗での限定カード払いに変更した途端流入が減った。「現金無けりゃ仲間を呼べない!」と叫ばれても、だからだよ、としか言えない。初夏に若い警官が刺殺された時点で国務大臣が慌てたが、やることなすこと大出血に絆創膏、としか思えないその場限りの応急処置。

そうそう、もっと個人的に現実的な苦難があった。

春先から絶え間なく続く大雨洪水。「洪水蚊」という特殊な大型蚊が異常発生。コイツはタイガーモスキートと呼ばれる東南アジア産で各種感染症を媒介する嫌なヤツ。温暖化の影響で動植物もどんどん縄張りを変えてゆく。牧草地、畑の滞水で待ってましたと大発生。1ヘクタールに一億匹!!…って、誰が数えたのやら目眩がする。あ、立ち眩みはコイツのせいか。蚊避けの対策を色々読んだけれど「蚊に好かれる体臭は遺伝。不運な星の下に生まれたと思って」って、美女に悪い虫がつくっていうけど、そんなのイヤ。さらに我が家の放蕩猫は高価な「虫除け首輪」(私のチープシックなアクセサリーの何倍も高い)をしているのにせっせとノミ、ダニ挙句に長毛にナメクジまで絡ませてご機嫌にご帰還。夫は無視され虫の受け手は私一人。猫の自由のために身を犠牲にしている健気な私。結構毛だらけ猫熟睡。防戦一方だけれど防虫に効果あり(かも)と言われるものはなんでも試す。おかげで部屋中ラベンダー、白檀、除虫菊の香りで充満。虫密輸猫は主犯のくせにベランダに逃げ出した。

暑い夏場には日中も屋内よりも日陰と風通しを求めて放浪する放蕩猫フロッキー。この季節のお気に入りは葡萄の葉蔭。君には猫のプライドはないのか?なぜ熟す頃には葡萄の房が「身のない魚の骸骨状態」になってるの?そこで寝てるのに?

まったくドイツもコイツも!と絶叫したくなる日々である。