
生まれ育った習志野市で「築古空室アパート再生」活動を通して見えた「学生アパートの移り変わり」の時代背景と再生の未来とは・・・
習志野市で活動する「一般社団法人高齢者問題支援協会」理事松本治氏にワンルームアパートの空室から見える、「学生の街習志野」のこれからを伺いました。
Q.松本さんは幼少期~学生時代を習志野市ですごされたということで、昔の習志野と今の習志野の印象はいかがですか?
A.そうですね。かつての大久保商店街は運動部の大学生達であふれ多くの飲食店や娯楽施設は活気に満ち溢れていました。今は無き銭湯も大学生と地域の方で賑わっていた事を思い出します。
私が学生の頃は、大久保周辺の地域には学生向けのアパートが次々に増えて行き、全国から優秀なアスリート達が集まり、アパートに住まい、大久保商店街や周辺地域で生活を送っていました。ジャージ姿の大学生が自転車やバイクで行きかうまさに「学生の街」という感じでしたね。
現在も多くの学生達が利用する大久保の街ではありますが、順天堂大学が佐倉市に移転したタイミングから少しずつ学生の賑わいが減ってきたように感じます。
その時代に学生向けに建てられたアパートも築30年を超え経年劣化なども進み、空室が目立つようになり少し寂しさを感じます。

Q.なるほど、大久保商店街を見ているとまだまだ学生が多い印象を受けますが、学生の通学ではなく居住という視点で見ると空室の寂しさを感じます。それでは現状はいかがでしょうか?
A.現在は、コロナの影響によりリモート授業が浸透するなど、学生を取り巻く環境も急激に変わっていきました。そして、少子高齢化時代が進む昨今では学生の数も大幅に減少しており、古めの学生向けアパートは空室も目立つようになっております。
最近の新築学生専用アパートは、鉄筋コンクリート造で高層化をしており、セキュリティ設備等が整ったマンションタイプの建物が増えております。
その中で、既存のアパートは益々厳しい状況が待ち受けているように思われます。

Q.私も大学生の娘がおりますが、一人暮らしをさせるならばできるだけキレイでセキュリティが充実した物件を探してしまいます。
A.よく聞くお声です。さらに、貸し手側である、長年にわたり多くの学生達を支えてきたアパートの大家さんも年を重ね時代の流れの中で予想もしなかった問題に直面をしていると思われます。
それは、物価上昇により建築資材や人件費は高騰し、所有するアパートの修繕費用を捻出する事さえも困難な状況かと思われます。修繕費用をかけても新規の学生等の入居者が見込めれば良いのですが、学生の減少や求められる建物が変化している実情は変えられないのかもしれません。
Q.お話を聞いていると、学生アパートの大家さんにとっては、厳しい環境になっていますね。空き家が目立つと街も寂しくなるのでなんとかしたいですね。
A.ただ、その一方では部屋を借りたいと一生懸命に探されている方々がおられる実情にも触れていきたいと思います。
これも時代の流れなのかと思いますが、精神的な問題により支援を必要とする方々が急激に増えているのです。
身近に向き合うきっかけがない限り知り得る事は少ないかと思いますが、隣で普通に仕事をしている仲間の中にも問題を抱え通院等を余儀なくされている方がおられても決して珍しい事ではないのです。
働き盛りの年代の方も障害者として認定され、社会福祉支援やグループホームのサポートを受けて生活を送っております。
その中でも軽度な障害の方は自立を目的に就労支援にて仕事に従事し、日常生活では支援の仕組みの中で細かく見守られています。
現在、国や県、市町村では、このような方々への賃貸の支援や制度に力を入れていますが、生活保護受給者や障がい者と言うひとくくりの見方では判断の出来ない内容が多くの誤解を招いているように感じます。
就労支援先でもコミュニケーションをとり見守られ、住居においても定期的に見守られる環境の方への賃貸は、大家さんにとっても安心なのではないでしょうか。
具体的な日常のサポートとしては、生活実態の確認として定期的に部屋の掃除や換気、食事やゴミ出しの状況、無駄な買い物をしていないか等の金銭的な見守りがなされます。
そこで、大久保エリアにて多くの学生達を支えてきた木造アパートの再生の未来は、地元に根差した健全な運営をなされている福祉事業者との密な連携により「新たな価値」を見出していく事になるのではと感じております。


Q.今後ますます重要度をます福祉について、住宅という視点から取り組みがなされるのはまさに新しい価値といえますね。
A.そうですね。高齢化社会は多くの大家さんにも切実な問題として訪れているかと思います。
そして、学生の街大久保の「新たなモデル」として、福祉を目的とした再生アパートが増え、大家さんと地域とが後世に繋ぐ取り組みとして歩み出す事が出来ましたらとても嬉しく思います。
このように支援しています
40代の女性。社会福祉法人の相談支援事業所からの相談でした。
精神疾患を患い障がい者グループにて生活を送っていましたが、就労支援でのコミュニケーションや日常生活も安定してきたとの事で、ワンルームのアパートを探しているが審査が通らず困っているとの内容でした。
継続的にサポートをする支援事業所の担当者が不動産会社に同行し、支援の内容等を説明して申込はするものの可否の理由も教えてもらえずに断られる状況に疲弊しご連絡をいただきました。
私たち高齢者問題支援協会が管理会社や大家さんにとって納得のいく形をご提案し、審査が通るまでの交渉や調整等の支援をさせていただき、大家さんも安心して女性にご入居いただくことができました。
空室対策
Q 家賃の支払いは大丈夫?
A ご本人の金銭管理をサポートできます。相談支援専門員による日常のサポートのほかに、社会福祉協議会による金銭管理の制度や、生活保護費から市役所が家賃を代理納付する制度などがあります。
Q 説明の理解ができる?契約上のトラブルはない?
A ご本人に解りやすく説明します!市役所のケースワーカーや、相談支援専門員(介護保険のケアマネジャーにあたる支援者)などが、物件案内や契約に同席し、ご本人に確認しながら説明をサポートすることができます。
Q 騒音は?ゴミは?近隣トラブルは起きない?
A ご本人の日常生活を見守っています!ヘルパーや訪問看護師などが、定期的に訪問するサービスを通じて、ご本人の生活を見守りしています。気になることがあれば、相談支援専門員からご本人に説明して、改善をサポートします。
このように、一般的な仲介交渉では大家さんにはリスクしか伝わらない事や、管理会社の立場や考えを理解した上での交渉が重要になります。「高齢者問題支援協会」では福祉事業者及び軽度な障害を持たれる方々の状況と、管理会社や大家さん双方の立場や考えを理解し、アパートの空室や空家を貸し出す事で障がい者の住居問題の解決を目指しています。
そして障がい福祉事業者と大家さんにとって利益があり、障がい者ご本人も住み慣れた町で安心した暮らしを送れるようになることが、習志野市の「新たな価値」の創造につながると思います。
築古アパートの空室でお困りの大家さんがいらっしゃいましたら、協会ホームページの問合せからお気軽にご連絡ください。(相談無料)
https://www.alpha-produce.com/senior-support-project/