KIRACO(きらこ)

「馬」厩肥は発酵温度が高い

2026年2月5日

漢字を楽しむ

 象形文字であるとすぐ分かる。馬の部に収められる漢字は五百をはるかに超す。馬の年齢、毛の色、体格、足の速い遅いによって文字が違う。馬の名前の文字もある。このように細かく区別しているのは、馬が家畜として人間の身近にいたこと、広く利用されていたことの証拠。イヌイットが雪の名前を細かく言い分け、日本語が魚の名前や文字が豊富であるように。

 漢和辞典で馬の部をのぞいて見よう。馬の四つ点を一で貫く・ケン・一歳の馬。馬偏に八・ハツ・八歳の馬。馬偏に四・シ・四歳馬?違う。四頭立ての馬車。馬偏に馬・二頭立ての馬車?ブー、馬が走る。こう並べると、連想も推理も役に立たない。

 馬は、日本ではウマである。馬という動物がやって来たとき、漢字も一緒について来た。日本人はどちらも初対面だった。大和言葉があろうはずもない。あちらの言葉そのままに「ンマ」といった。それが「ウマ」になって現在に至る。『魏志倭人伝』に「その地、牛馬虎豹羊鵲なし」と記されていることからも分かる。ついでながら、梅もその仲間で「ンメ」だった。「赤坂小ンメでございます」とあでやかな姿で挨拶し、のびやかに唄った声が今も印象に残っている。

 中国には「南船北馬」という言葉がある。交通手段が南方地域は川が多いので主として舟により、北方地域は山野が多いので馬による。それとはちょっと違うけれども、日本では「西牛東馬」といえそうだ。西日本は畿内を中心に道路整備が進み牛車の利用が多かった。また水田の牛耕が可能だったのに対し、東日本は東国武士団が馬を重視し、耕作地も広く足の速い馬が耕作に適していた。また馬の厩肥の発酵温度が牛より六度高いため、気温の低い東日本では温床に用いるのに効果があることも、その原因として考えられる。

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