ねこが好きだ。
素っ気ない態度——と思っていると、すり寄ってくる。
そして、あのしなやかさ。しばらく触れていないと無性に懐かしくなる。
いぬもかわいいと思う。久しぶりに会うとハアハアいって飛びついてくれるいぬに「あんただけだよ、私をこんなに歓迎してくれるのは…」と言ってしまう。
でも、やっぱり、ねこが好き。
私は小さいころ一人っ子で、ねこときょうだいのように遊んでいたからなのかも知れない。
長いヒモを引きずって座敷を走ると、ちょっと間をおいてダダダッとじゃれてくる。縁側に出て隠れていると「分かっているよ、そこに居るの」とでも言いたげに覗きこむ。
今まで、いろいろなねこと暮らしてきた。野良ねこともつきあってきた。つきあう——といっても勝手に名前をつけて、見かけると「ぱん太、元気かい、メシ食ってるかい」などと声をかけるだけなのだが。
それにしても、野良ねこは天から降ってきたわけでも、地から湧いてきたわけでもない。無責任な人間がつくり出したんだろう!と怒いかる。
そして、放っておくことができないのだから、始末が悪い。