ゴハンに比べれば、メシは乱暴に聞こえる。もとを正せば召し上がるもの、の意であって品が悪いわけではない。飯のつく言葉をいくつか拾い出してみた。お好きなものを召し上がれ。
一合雑炊二合粥三合飯に四合団子五合牡丹餅六合粟餅は、一食に一人が食べる穀物の量。料理の仕方でこうも違う。四合粉五合団子、四合鮨五合餅、四合餅五合うどん、ともいう。内の飯より隣の雑炊は自分のものより他人のものが何かにつけてよく見えるたとえ。米の飯を食うは易く麦飯を食うは難し、これは贅沢な生活に走るのは容易だが、質素な生活を守るのは難しいということ。
飯は食+反、ここまでは同じだが反をどう見るか、学者によって見方が異なる。返るの意味で穀物を煮え返らせて作った、めしの意味とする。反はばらばらになるで、粒がふやけ、ばらばらに煮えた米の飯とするなど。また『礼記』に「黍きびを食ふには箸をもちゐることなかれ」とあるそうで、中国古代では指でつまんで食べていたことが分かる。
中華料理の店に「○○飯店」と看板を見かける。料理屋・飲食店の意味と分かるが、中国語では旅館・ホテルの意味だという。
最後にご飯がおかずになる話。小説『橋のない川』の著者住井すゑさんが実践されたもの、
その一。釜を二つ用意する。一つの釜では普通のご飯を炊く。もう一方の釜では同量の米を醤油で炊く。両方が炊き上がったら、同じ茶碗に入れて食べるとき交ぜる。両方とも感触が同じだから、おいしい。
その二。ご飯を炊いておいて、冷まして、そこに熱いお粥をかける。お粥は味付けをしたおじやか茶粥にする。
その三。ご飯があまったとき、ごま油でもサラダ油でもいい、炒める。それに塩、コショウ、醤油、好みで七色唐辛子で辛い味に仕上げても。それをご飯に振りかけて食べる。