3月になったら、急に暖かさがやって来た様な気がする。厚いコートが邪魔になり、つい薄地のワンピースを買ってしまった。ついでに軽やかなショールも。さっそく女性だけの集まりに着ていったのはいいが、やっぱり背中あたりに寒さが張りついている気がして、家に帰りつくとすぐに風邪薬を飲んだ。翌朝、起きたら何だか熱っぽく、手足の関節がすごく痛い。若くないんだもの。
季節の先取りをして、おしゃれなんかするものじゃないなと、つくづく反省しながら起き上がり、恐る恐る手帳を覘いてみる。
あーあ、今日も予定が入っている。十時から会議が一つ。そろそろ起きなきゃと私は急いで歯を磨き、顔を洗った。私の化粧はいたって簡単。私って結構厚化粧と思われていると思う。だけど、本当は至極簡単になのだ。眉を引き、目の周りにアイラインを塗るだけ。ただし頬紅だけは、かなり濃く塗る。本来私って青白い顔をしているので、これは仕方ない。ファンデーションもつけないし、アイシャドウも使わない。口紅を付けた後、パウダーで顔をはたけばそれで終わりなのだ。今は、マスクをつけなければいけないので口紅もつけないから楽ちんだ。ごめんなさい。化粧品名を並べたって、男性読者の方にはわからないですね。
それに私って、趣味も持っていないつまんない女だ。
ゴルフはやっていたけど、亭主が他界してからはやっていない。子供の頃から祖母や両親から、ピアノ、日舞、バレエとか習わせられたけどどれも長続きしなった。母なんか「この娘は何をやらせても。ものにはならないわ」なんて嘆いていたっけ。唯一、私は本を読むのが子供の頃から大好きで、それだけは今でも続けている。読書を趣味と言えるかわからないけど・・・。もう一つ芝居や音楽会は暇を見つけてよく行く。ジャンルは問わない。いろんなものを観にいっているが、時間がなく半分だけ観て帰るなんてのはザラだ。それでも行かないよりはうれしいので行くようにしている。どうしてこんなに忙しいのか、自分でもわからないけど、なにしろ現在毎日が忙しい。
本当なら、家でゆっくりする年齢かも知れないけど、何だかだんだん忙しさが増している。本職は物書きなのだけど、ああ、それとイベント業として芝居のプロデュースなんかもたまにやる。だけど、さぼり屋なのとコロナの関係やらあって、近頃はボランティア活動の方が多い。主に、目の不自由な方の支援に力を注いでいる。それから白血病の方への支援、そしてうつ病の方々にも少しでもお役に立てたと思い、大したことが出来なくても一生懸命やっているのは事実だ。そんな事で日々流れて行っているのだけれど、元気で頑張っていられるのは、幸せだと考えている。友達もたくさんいるから寂しさは感じない。それともう一つ、やりたいと思い少しずつ取り掛かっている。私は小学校の四年生の二学期まで、市原の山奥の小学校に通っていたのだけど、父がいつも話していた事があった。
人が来ない所は寂れていくばかり、ゴルフ場の開発は自然を破壊するかも知れないが、ゴルフ場がたくさん出来れば人もたくさん来るし、村の人の働き口もできると繰り返し語っていたし実行にも移していた。私は東京の学校に行ってしまったが中学になって、お盆に市原の家へ帰った時、父の言葉が本当だと感じた。村にはいろんな車が走っているし、村のお嫁さんたちが、キャディーさんなんかしていて、揃ってあか抜けてきれいになっていた。きっと、自分のお金を使える機会をえたのであろう。そしてあんな山奥なのに、「ゴルフ銀座」なんて呼ばれていた。私はこのことをきっかけに観光に興味がわき、千葉県の観光をライフワークとしていこうと考えている。千葉県内には、歴史に彩られた観光地がたくさんある。海の幸、山の幸それからお米だっておいしいし、花もたくさんある。旅館もホテルも素晴らしい所がたくさんある。東京からも近いし、国際空港だってある。もっと、もっと国内外の方々にたくさん千葉県に来て頂きたいと常に考え少しずつ努力をしているつもりだ。
東京にいる弟から「皆で住んでいた家をきれいにリフォームしたから東京に戻っておいでよ」と言ってくれたが、今は、千葉が大好き。
千葉でやりたいことをして、千葉のために頑張りながら、楽しい日々を過ごして行きたいとなあと近頃、度々考えている。それには元気でいなきゃね。
それからもう一つ、やってみたいものがある。
お芝居のシナリオを描いて、演出もしてみたいと願っている。少しずつ勉強はしているんだけど、難しくって。でも私、諦めずにやってみるね。あんまり自信はないけど・・・。
よしなり ようこ
千葉県市原出身
文化学院文学科卒 日本作詞家協会会員
千葉県立盲学校後援会会長
千葉おかみさん会会長
日本文芸家協会 会員
日本作詩家協会 会員
千葉いのちの電話 副会長
• エッセイ
『八丁堀ものがたり』『西銀座ものがたり』
『千葉ものがたり』『続千葉ものがたり』
• 短編集『花を焼く』
• 小説『絹の手ざわり』
最近作『忍の一字』『夢子』