KIRACO(きらこ)

「兎」ウサギさんご免ね

2026年6月11日

漢字を楽しむ

 子どものころ家で兎を飼ったことがある。学校でも飼っていた。家ではときどき、学校では順番に当番が回ってきて、そのときは餌やりをし、飼育箱の中を掃除した。その後どうなったのか記憶にない。

 その程度の経験では、今から考えるといろいろと誤解をしていた。ウサギは思いのほかに大食漢で、おまけに食糞という習性があった。普通の糞と、ねばねばした膜に包まれた糞を交互に排出する。この後からの糞を食べさせるのは汚い、餌が少ないから糞まで食うのだと思っていたら、じつはこれを食べることは兎の栄養補給・健康維持上、たいへん大事なことなのだそうだ。

 兎を運ぶときに長い両耳をつかんで吊り下げた格好にした。これは兎に恐怖感を与えるらしい。普段鳴かなくてもキイキイと甲高い声を出すそうで、してはいけないことの第一とか。背中の真ん中よりやや前方の皮を大づかみにする、これが正解なのだそうだ。知らなかったとはいえ、兎さんたち、ご免ね。

 前に、「狡兎死して良(走)狗烹らる」を紹介したが、兎の入った熟語は多い。「狐死して兎泣く」、狐が人間に捕らえられるのを見て、次は自分の番かと兎が泣く、同類の不幸を悲しむたとえ。狐も兎も狡猾さは共通で、不心得者が自ら招いた災難かも。「始めは処女の如く、後には脱兎の如し」、『孫子』から出た言葉で、初めはおとなしくしていて、敵が油断して戸を開いたら、その後すばやく攻め込めば、敵はもう防ぐことはできない、がもとになっている。

 日本の古典に「因幡の白兎」が出てくるし、『鳥獣戯画』にはおどけた姿を見る。昔話の「かちかち山」はかなり残酷な復讐物語だが、「兎と亀」の話は安土桃山時代、宣教師によって広まった、もとは『イソップ物語』。月に兎の取り合わせは中国。日本では餅をつくが、あちらでは薬をつく。

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