KIRACO(きらこ)

Vol137「犬」ヒトとの深いかかわり

2019年7月2日

漢字を楽しむ

「犬」ヒトとの深いかかわり

 人類と最も深いかかわりを持つ動物。犬は人間との共生関係を五万年前から持ち続けていると動物行動学のK・ローレンツはいう。なぜ犬と人間が一緒に暮らすようになったかというと、犬が人間の居住近くに出没し、残り物をあさっていたからと考えられる。次第に双方が接近し、順化されて家犬になってきた。
 犬はさまざまな形で人間生活の手助けをしている。警戒心が強く、嗅覚が特別に優れているので、麻薬探知などの警察犬や軍用犬として大いに役立っている。労力提供としては犬ぞりとして、牧羊犬や遭難救助犬としての活躍も目覚ましい。盲導犬や聴導犬は障害を持つ人にとっては体の一部となっている。愛玩用としての歴史も長いし、最近の日本ではいやし効果も評価されて、空前のブームと呼んでもいいほどである。昔話や文学は勿論、ドッグレースや闘犬も人々を楽しませてくれた。
 このように犬は人間の生活に多方面にわたって役立ってきた。最近は機械化が進み、交通網が開けてくるなど、今までの犬の職域も狭められてきた。例えば極地でスノーモービルが普及する、牧畜業でも車による畜群の誘導が行われる、今まで獲物として捕獲していた動物が保護されるようになる。こうなると、狡兎死して良狗烹る(…走狗烹らる、ともいう。すばしこい兎が死ぬと、それを捕らえるために役立った猟犬は不用になり煮て食われる。『史記』にある言葉)、悲劇への道である。
 近所にも愛犬家が多い。飼い主は飼い犬届を出し、狂犬病の予防注射を受けさせなければいけない。犬がむやみに吠えたり噛み付いたりしないようにしつけるべきだ。散歩のときビニール袋持参で汚物処理をするのは当然だが、尿に対しては寛大過ぎるようだ。実験の結果、水で洗い流せば臭気が消えるとか。とすれば、それ用の水も携帯しなければなるまい。