Vol138 「雨」アメ、サメ、ダレとグレて読み

「雨」アメ、サメ、ダレとグレて読み

天の雲から水滴がしたたり落ちる形をかたどった字であることは想像しやすい。一が天を、口が雲を表し、その他で雨が降っていることを示している。
 雨や水に関する天体現象を意味する字に使われる雨冠の字のうち、小学校では一年生で雨、二年生で雲・雪・電、と合わせて四文字を習う。常用漢字としてはこの外に、需・震・霜・雰・霧・雷・零・霊・露の九字があるが、日常生活では雫、雹、霙、霞、霰、靄などもドッコイ生きている。
 高校に入ってすぐだったと思うが、明日は雨が降るはずだから、自宅の庭に降る雨粒の直径を計ってくるように、と宿題みたいな依頼みたいなのがあった。多分そのとき、雨粒の格好はどうかという話にもなったと思う。絵に描くときは雨粒を線にしたり、涙の粒状にしたりする。実際の雨粒は表面張力によって真ん丸な形になる。粒が大きくなると空気抵抗から上の部分が丸くて下が平らの、鏡餅のような形になって落ちてくる、そんな風に聞いた。
 カラオケでは雨の歌がやたらに多い。数える元気をなくすほどである。雨は日本人好みのようで、季節によっても降り方によっても、雨の呼び名はさまざまに変化する。川柳にこんなのがある。
  同じ字を雨、雨、雨と雨て読み
 同じ雨の字を、春の雨・小雨・五月雨・時雨と書いてアメ・こサメ・さみダレ・しグレと読ませることになる。春の雨と春雨とは微妙に違う。雨の変わった読みには、梅雨ツユ・日照雨ソバエ(片しぐれ)などもある。
 雨降って地固まる、など慣用句があるが、雨を植ゆる(農夫の苦労をいう語)、明日は雨、人は盗賊(天気のように人も世も変わりやすいもの。万事、油断してはいけない)という語もあるようだ。雨晴れて笠を忘る(苦しい時に受けた恩を、その時が過ぎると忘れる)ことのないよう、お互いに。