KIRACO(きらこ)

Vol146「白」日中韓は白が好き

2020年12月3日

漢字を楽しむ

「白」日中韓は白が好き

日本人が割合好きな色のようである。欧米・アフリカ・オセアニア各地から六か国を選び、それに日本も加えて好きな色を選んでもらった結果、日本人の特徴は白い色が好みだと分かった。白に神聖・神秘という要素を重ねているらしい。どの色を好むかは、その人の生まれ育った環境・文化的背景などが作用する。韓国や中国の人々は日本人以上に白い色に対して好意・好感を寄せる。日中韓の人は共通の感覚を持っていると見られる。

大相撲を見るのが好きである。昔は四本柱に布が巻かれていたものだが、昭和二十七年に観客の見やすいように取り払われて、現在の黒・青・赤・白の房に変わった。テレビ中継が翌年から始まり、赤房とか白房とかの言い回しが当たり前のように感じられてきた。四本柱は中国でいう天の四神に相応させる見方で、玄武・青竜・朱雀・白虎を象徴したもの。

白の文字を使った四字熟語は意外に多い。『大修館四字熟語辞典』で見ると白紙委任のように白○○○となるものはこの語を含めて九語、青天白日とは亭主関白などの白の字が語中あるいは語の末尾に来るものが十二もある。ふだん使っている語でも、語源が分かるとにわかに興味深くなるものもある。たとえば、白河夜船。京都を見物したといううそをついた人が、白河はどうだったかと聞かれて、川の名前と勘違いして「夜、船で通ったから何も知らない」と答えたという話からきている。そこから、ぐっすりと寝込んでいて、何事にも気が付かないことのたとえとなる。

この本は熟語の意味・構成・用例・用法・類義語・対義語などが載っていて、読んで楽しい。キーワードによる分類索引や熟語の中に含まれる一字からでも引き出せる漢字索引などがついていて便利である。