KIRACO(きらこ)

Vol140 東京湾から令和を見る(4) 参議員予算委員会

2019年11月7日

湊町暮らし

東京湾から令和を見る(4) 参議員予算委員会

この時「千載一遇」のチャンス到来と感じた。東京湾漁業の将来を考える時、横断道路は勿論、湾の陸地化が最大の障害となる。特に湾奥の浅海域を残すことが東京湾漁業存続の絶対条件、そのために色々と策をこらして来た。結果参議員予算委員会で意見を述べられることは、国の最高機関である「内閣総理大臣」に直訴出来ることだ。この機会を逃してはと勇んで国会に赴いた。

なんと好運なことか。かつて江戸時代には直訴は大罪で、重税に苦しむ村の窮状を救う為に行動した「佐倉宗吾郎」は死罪に、一族郎党も不幸な目に遭った。私は委員会前の待ちの間、湯茶の接待を受け、その上、交通費、日当までいただき、最大15分間の時間を自由に答弁出来た。結果的に「米国の湾管理」の実態、桑港湾計画が日本の中核にそしてTV 放映によって全国に知らしめることに。その上「三番瀬」の名が参議院予算委員会議事録に永く止めることになった。これは東京湾が漁場として生き続けていることを周知した。

この時関係閣僚、森美秀環境長官、羽田孜農水大臣、江藤隆美建設大臣、小沢一郎自治大臣は湾の改善につとめると発言、が中曽根総理大臣は(1985年、世界最大の貿易黒字を背影に、もはや米国から学ぶものは無いと豪語。)我が国には水質汚濁あるいは環境保全の法体系が整っている、東京湾だけ特別立法は必要ないと言い放った。桑港湾計画を完全に無視したのだ。

桑港湾計画の基は「湾を守る法律」でその目的はかけがえのない湾を最も重要な天然資源として維持改善し後世のために保護しようとするもので只々単に水質だけの話ではない。昔から「人の姿見て我が姿直せ」中曽根首相は大きな間違いを犯した。

環境庁長官は昭和61年3月に開かれた予算委員会の2か月後の5月に「三番瀬」に船橋市大橋市長、臼井代議士同伴で訪れた。この時大漁旗を掲げた船橋漁協と富津漁協の巻網船団が三番瀬沖に集結して長官を出迎えた、その数40隻程だった。

この時長官は感極まって「三番瀬を守る」と発した。実は千葉県では三番瀬の埋立計画をいつ実行するか思い悩んでいた矢先のことだった。

千葉県においては横断道路について反対出来る状況になかった。当時県議会の重要な議題は横断道路問題で富津市の山を崩して産出される土砂を何時使うのかが重大問題だった。これに知事は必ず使います、島を造成するのに大量の土砂が必要だと答弁した。こうした背景を余所に、一方成田空港では連日空港建設反対農民と機動隊との衝突が毎日報道されていた。仮に横断道路建設絶対反対を揚げて戦うだけの空気は漁業界には無かった。桑港湾ではこの時代橋脚より海底トンネル、車より電車を、即ち生態系を守り公害を無くす為の方策だった。これによって海底にチューブを沈めて地下鉄を、車を制限して、ケーブルカー、メトロ、BART、トロリーバス等々の公共交通を推進した、桑湾市内はほとんど一方通行又橋を渡って桑湾市内に入る車は有料とし出て行く車は無料とした。

橋より海底トンネルの電車を見習えば羽田駅の隣りが木更津駅で木更津市街の衰退は無かったかも知れない。桑港湾に掛る橋は1940年代の景気対策ニューディール計画によって建設されたらしい。即ち橋の建設は桑港では時代遅れという事で、私は国会答弁で「時間がずれている」と国家を侮辱しないよう気をつかった。予算委員会と三番瀬視察を経て、昭和63年11月に環境庁水質保全局長の委嘱により「東京湾水域環境懇談会」が設置された。目的は「首都圏の掛け替えのない環境資源である東京湾をよりよい姿で次世代に引き継いでいくために、保全、創出、活用のあり方を検討し、環境保全、再生対策を強力に推進し生態系のバランスを回復し、新たな開発により、これ以上バランスを壊さないこと」を目的とした。そしてこの結果を提言として、冊子「かけがえのない東京湾を次世代に引き継ぐために」平成2年7月中間報告発表。

つづく

旬の味「渡りガニ」 

今年の夏、9月に形の良い「ガザミ」が例年になく揚がった。漁法は「カニ刺網」だ。一晩、海に流し設置した網に「カニ」が掛る、それを船上か港に運んで生きている内にはずし、活きている内にボイルする、死んだカニは味が下る。即食すか、さまして、冷凍保存する。冷凍すれば一カ月は鮮度が保てる。解凍は冷蔵庫内で、12時間か24時間掛けると味は最高だ。これを使用して「カニパスタ」が旨い。酒はワインで良し、日本酒でも。江戸前の板前が「カニ」といえば、「タラバ」、「毛ガニ」「越前ガニ」でなく「渡りガニ、ガザミ、笹ガニ」同じカニだ。(東京湾の渡リガニだ。)我が家では昔から甲殻類の旨さの順は即ち値打は一番が「ガザミ」二番は「シャコ」三番が「エビ」だ。カニの食し方は色々あるが、まず甲羅を剥がし中に味噌が、足が何本も有るが胴の付根に動かす筋肉が、大胸筋や広背筋とそして大殿筋という所か胴体部を半分左右に分け足の付根部分と一緒に割ると食べ易い。