KIRACO(きらこ)

Vol142 カラーコーディネート(下)

2020年3月12日

中田芳子さんのエッセイが読めるのはKIRACOだけ

前号も同じタイトルで書かせて頂いたのですが、横道に逸そ れすぎてスペースが足りなくなり、お話の途中で失礼しました。今回はその続きという訳です。前号をお読みでない方の為に、かいつまんであらすじを申し上げますと・・・。

〝色彩”に関して余り自信がもてないままに過ごしてきた長の年月。それというのも成長期が戦争の真っ最中で、どちらかというと《無関心》だった私でした。色彩感覚に関しては実は劣等感さえ持ち続けていたのです。

たまたま昨年の秋、私の属している「YAMAHA・Jet」の研修案内で珍しく《カラーコーディネート》という項目を見つけ、「おおっ!」とばかりに申し込んだのでした。教室は超満員でした。若い先生方も多いのですが、私のようにもう四十年も関わっていると、当然お友達もウン十年来のお付き合いという、気心知れた仲間が多く、それだけでも華やいだ空気で大盛り上がりです。しかも普段はエレクトーン奏法とか、生徒の指導についての講義とか、お固い内容が主流なのに、今回は女性なら誰しも興味のある《おしゃれ》に纏わるお話。私たちは七~八人のグループに別れて座りました。講師は、溌剌とした、若い先生です。

最初の導入はそれぞれの好きな色を思い浮かべ、それを分析し、いわゆる《パーソナルカラー》を掴むこと。以下、その時の資料をもとに内容をかいつまんで話しますと、
《パーソナルカラー》とは、自分と調和する「似合う色」のことで、それぞれの身体にも髪・肌・目・爪・身体の色と様々な色、つまり《色素》があって、それが基本となっていく・・・(私たちは沢山の色に囲まれて生活しているわけですが、しっかりと見分けていくと、人間の目が正常に識別できる色の数は、なんと七五〇万から一〇〇〇万にも昇るのだそうです。)でもそれを大まかに分類すると、★ウォーム系と、★クール系に分かれるのだそうで、このベースをしっかりと見分けることが大切なポイント。

一番驚いたのは講師の用意したゴールドのラメっつぽいスカーフと、シルバーベースのそれを交互に胸に当て、どちらが似合うかを咄嗟の判断で決めるという実験で、本人は鏡を持ち、グループのメンバーはその場で一斉にその印象を言うのですが、信じられないくらいそれは咄嗟に判断出来るのです。

私の場合はシルバーでした。つまり大きく分類した場合のクール系。この他にも色彩の好みを春・夏・秋・冬で分類する方法など、次々と紹介され、面白さに引き込まれてみんなハイテンション!しかもそれぞれの季節に該当する女優さんの名まで挙げられていて・・・。これ以上書き続けると又もやスペースが無くなってしまうので割愛しますが、色にはそれぞれ効力があって、例えばその色を身に付けることによってエネルギッシュにも控えめにもなり得る、つまり色には心理的にも生理的にもヒトを動かす力を持っている、それは学術的にも立証されているのだそうです。

例えば赤だとヘモグロビン、黄色はカロチン、黒はメラニンなど含まれていて人はそれによって大きな作用を受けるのだとか。殊に腰から下に青い色をつけると血圧が下がったり、逆に赤い下着は血液の循環をよくするのだとか。「皆さん、試しに今日から是非真っ赤な下着、穿いてみて下さいね!」先生のユーモアを交えたご発言に、会場は大爆笑。「ええっ?ヤダぁ・・・この歳ではさすがに恥ずかしくて買いに行けない~」思わず口をついてでた言葉に、隣に座っていた長いお付き合いの友人が「あ、中田さん、私プレゼントしますよ!米寿のお祝いにネ」そういうのです。え?まさか?

冗談だと思っていたら日を置かずして届いたのは目も覚めんばかりの真紅のパ×× とお揃いのヒラヒラ・キャミソール!これではどう見ても《勝負パ××》です。さて、折角頂いたこの勝負パ××、一体いつ穿くべきか?未だに迷い続けているナカダなのですが、もはやどう考えても《閻魔さまにご対面するその時》しか思い当たらないのです。今まで私の犯したモロモロの罪業、これで少しは軽減してもらえるのでしょうか?