KIRACO(きらこ)

Vol147 東京湾から令和を見る(10) 「知恵が無い」

2021年1月14日

湊町暮らし

東京湾から令和を見る(10)「知恵が無い」

コロナ禍最中、「新漁業法」が新たに制定された。骨子は「資源管理」だ。

資源管理の先進国はノルウェイ。ノルウェイでは厳しい資源管理と一対で「魚価」を保障している。日本はそこまで考えていない。ノルウェイとの大きな違いは、我が国に於いては資源管理魚種がノルウェイの数10倍多く、比例して漁法や規模が多岐に渡る。北欧は魚種が少なく漁法の数も少ない、大規模でシンプルだ。資源の調査は国運を掛け大規模で精密に行っている。年ごとに調査が行われ各船割当て「漁獲高」に依り終了時期はまちまちだ。魚価は最低保障が有り安定した事業展開が行われている。

個々の事業についてもきめ細かい配慮が有り、経費の削減等的確に行われている。終了時期がまちまちなのは性能の良い船は早々に割当漁獲量を達成し、その年の漁を終え、漁業以外の仕事で漁船を使う仕事、海上風力発電の維持管理の見廻りや観光船等に活用する。その為に多目的に使用出来る様設計されている。漁船の建造に当たって日本と異なる所は過剰な投資を避ける事を主目に置き、省力化には設備投資を惜しまない。日本では過剰設備が目立つ。ノルウェイでは新船建造にはエンジン、艤装、電子機器、漁労機器、網工、造船設計の面々が一チームを組み実際に乗組み、漁労を直に見て確認し改善点を探し無駄を省く。

人口の少ない国は省力化に努め、資本投資を惜しまない。漁船からの荷揚げはフィッシュポンプで直接工場へ、次にベルトコンベアーへと流れ作業全て省電力化を旨としている。旋網等の大きな網の手入れは天象気象に合せて大きな建物を使用しネットローラ数台仕掛けて流れる様に作業を進めて行く。小型の旋網漁船では火船を使い、一人で巻く、裏こぎは、船外機を使いエンジンを固定し無人で走らせる。これはフィヨルドの入江で岸近くまで水深が有り、無風状態だから。最後に、棒を使った生簀に移す、生簀のサバは買付専門の船が引き取りに。

日本に比べて恵まれていると感じる。資源保護について後発の我が国は彼等が先行して作成したルールに追従する形だ。彼等に比べると我が国の漁業は数が多く彼等の数倍難しいことをする事になる。同じ土俵ならと思うが彼等の土俵彼等のルールでは勝負に成らない。

折も折コロナ禍の最中だ。同じ様な事が10年後にも有るかもと有識者が予測する。そこで同じ様な状態の時に対応する為にイノベーションの必要を感じる。

今回の問題点は魚の販売が、末端の小売、業務用消費者、ホテル、旅館、料理屋、飲食店、これ等が集結する繁華街、温泉、観光地、名所旧跡、人が好んで集中する行楽地の経済がコロナの伝染源の恐れがあると、人の流れが止まり消費がストップ、おまけに交通機関のキングメーカー鉄道、飛行機も大打撃。こうした事情で禍を転じて福と為す、発想を変える必要有り。が知恵が無い。以上の事が世界中で起こっている。

物が動かない、我々生産者は、アマゾンや、ジャパネットの様にデリバリーを考えるか。魚は鮮度で一手間加える必要が、増して乗組員を抱える旋網漁業の場合一匹二匹扱っている訳でない。大冷蔵庫を持ち、加工技術を有し、グローバルに商売をしている水産加工業者が居て、うち当りの多獲魚「コノシロ」等30トン40トンと買付けしてくれ、助かっている。しかし世界的にパイが縮小しているので動きが悪い。前号でも話したが6次産業化は覚束無い。

この際考えられる事はイノベーションだ。自分自身を見直して、固定費を最小限に抑える為に最大限の省力化が必要だ。それはノルウェイ式の網と魚を積んだ単船操業以外考えられない。しかし難関が。それは許認可の問題だ。我が国の漁業法は資源保護法の上に乗って成り立っている。それだから船の大きさの制限が厳しい、大平丸は明治時代から5トン未満の小型船2隻の巻網漁業だ。これに20トン未満の運搬船1隻ないし2隻それに3トンの裏漕ぎボート1隻。これを20トン未満船に網と魚を積む単船に。 (つづく)

旬の味「クラムチャウダーとペペロンチーノ」

時化が続くと酒の肴に魚は難しい。「ビノス貝」なら間に合う時が有る。度々開催する飲み会に思案の末「クラムチャウダー」を、丁度前日「牡蛎」を友人からもらった。これにビノス貝を合せれば旨いチャウダーが出来る。「牡蛎」はむき身に、ビノスは「フライパン」に、少しの水を加え熱して口を開け身を取り出す、同時に出汁をチャウダーの「元」に。

ビノスと牡蛎は細く切り刻み塩胡椒で味付、味は最高だ。汁がサラサラなので少しトロ味をと、普通、片栗粉を使うが「ジャガ芋」を「だし」が出るので、丁度小型のミキサーのテストを兼てジャガ芋を一個液状にし投入、これが大失敗、固まり過ぎてスープの表面にジャガ芋の膜が。色もジャガ芋に。これに牛乳を、熱し過ぎると牛乳が固まるので70度程に下げ、牛乳は60度程に温めて投入、出来上がり。

メインにペペロンチーノ。「マイタケ、ピーマン、ナス」をニンニクオイルで炒め塩胡椒で味付、鷹の爪を加えニンニクチップと一緒にパスタにトッピング。