KIRACO(きらこ)

Vol150 「晴」制服は一番の晴れ着

2021年7月22日

漢字を楽しむ

Vol150 「晴」制服は一番の晴れ着

晴天というのは気持ちがいい。それでもあまり晴れが続くと、一雨欲しくなる。人間というものは本当に勝手にできている。いつの時代であろうが、どこに住もうが、自己中心的な考えを曲げないようだ。

空模様が気になると誰しも空を見上げる。気象台へ行ってみると、科学技術の最先端の機器に埋め尽くされている。そうかと思うと人間の視覚に頼っている部分もあって、その素朴なところに何となく救われたような気にもなる。視界とか雲量とかは担当者の判断で決まる。

空全体をどのくらいの割合で雲が覆っているか、これを全雲量といい、これが1以下だと快晴、2から8だと晴、9以上だと雲の種類によって薄曇だったり曇だったりする。

その昔、一日中部屋に閉じこもり、机にしがみつくような仕事をして、夕方になってその日の日誌を書いて終わる。そのときになってアレッ、今日の天気はどうだったろうと考えることがしばしばあった。周りの人に聞こうにもみな帰ってしまっている。この全雲量を再確認してからは少し気持ちが楽になった。

ハレとケということがいわれる。ケというのは日常的なこと・普段という意味で、漢字で書くと褻。昔は正月など晴れ着ではなくても、普段着とは少し違った衣類を身につけた。学校へ上がるときもいつもの服装とは違った制服に身を包むことで、気分も改まったことを覚えている。

ハレとケの区別がなくなると、人間の生活にメリハリがなくなる。恐ろしいことだ。一部の高校生が制服をわざとラフに着て格好を付けている。あれは自己主張をしているのではなく、自分自身を貶めているとしか見えない。彼らにとって制服は一番の晴れ着なのだ。親も教師もそのことをきちんと教えてやる必要がある。プロ野球の選手が暑いからといって、試合中にユニフォームのボタンをはずしてプレーしていますかって。