KIRACO(きらこ)

Vol151 東京湾から令和を見る(14)「コロナも気候変動も人災だ」

2021年9月23日

湊町暮らし

Vol151
東京湾から令和を見る(14)
「コロナも気候変動も人災だ」

東京五輪2020 はコロナ一色で終わった。
東京開催が決定した当時は、地球規模の脅威、気候変動が大問題だった。
原因は人間活動に因るCO2 増大が引き起こす地球温暖化だ。
東京五輪のキャッチフレーズは脱炭素を掲げた環境問題だった。
そこで東京都は省エネを目玉に、コンパクトに開催地域を限定し、東京港周辺の埋立地に出来る限り多くの施設、選手村や競技場を固めることを計画建設した。
途中東京都が大上段に構えた自然環境重視が、実は生物多様性に富んだ干潟を破壊し造成した埋立地が会場で、声高に地球環境保全を唱えるのはいかがかと指摘された。

小池知事は元日本政府の環境大臣、その意を即察し、大規模な開発から免れ、今も残存する荒川河口の干潟「三枚洲」を即座に「世界の生物多様性に富んだウェットランドを保全し守るラムサール条約」に登録し、東京都は干潟を埋立消失させたが残された「掛け変えのない干潟」は守り続けると意志表示した。
流石小池知事だ。
万事整った矢先、運悪く「コロナ」が出現、一年先延ばしに。

翌年、コロナ禍の中、なんとか開催、ワクチン接種も順調に開始、良い方向に。が大会中に、インド型デルタ株コロナウイルスの出現が猛威を振るい急拡大患者が急増し、政府は医療体制崩壊を恐れ、四度目の緊急事態宣言、まん延防止等重点措置を発令、またまた飲食業に酒類販売禁止、営業時間制限や休業も。

飲酒に魚は付き物、世界の大都市、東京の台所が豊洲市場。都内の飲食店の仕入先、豊洲魚市場の中卸が「大平丸」の販路だ。
特に気温30度を超す真夏に珍重される「スズキ」は、晩秋から初冬に産卵、前の夏に脂が乗って肥り、一番美味な時だ。
値も張り漁師の稼ぎ時だ。
飲食業の休業等で「スズキ」の流通が良く無い、どうにも動かない。
昔から「漁より売り」漁師の稼ぎは売値次第、安い魚は漁獲しない。
値良く売る為には魚の扱いに細心の注意を払い工夫を凝らし最高の鮮度を保つ。
しかし食べてもらえなければ一銭にもならない。
漁師(乗組員)のメリット稼ぎは基本給にプラス、豊漁時売上の分配金だ。コロナ禍が収まるまで望み薄すだ。
無常に季節も移り変わっていく。

脱炭素が世界経済を動かしている。
この背景の中「三番瀬」に第2湾岸道路建設が話題に。戦後の貧しさが身に染みて一に稼ぎ二に稼ぎ、上場企業は未だに形振り構わず利益第一だ。
東京湾岸の石油コンビナートは石油産業の利潤が下降気味と見るや、次は電気エネルギーだと即発電所建設促進運動を展開している。

三年前は石炭だったが、脱炭素が国会で石炭火力が否定されるや、「LNG」に変更し飽く迄、東京湾岸に発電所を。
湾岸には巳に発電所が林立して、年中24℃~ 25℃の温水を冬でも排水し、湾の生態系の多様性を破壊して来た。

一方国連は2050年までに世界の人口が97億人に、食糧不足が畜産拡大に伴う環境負荷を減らす為、植物肉や昆虫食で「飢餓を撲滅」。
持続可能な開発目標が重要課題としている。
東京湾は戦後の食糧難に貢献、今も食の貯蔵庫だ。

(つづく)

旬の味「夏の野外食」

連日30度を超す猛暑が続いている。
「スズキ」の出番だ。勿論「洗い」で食すのが一番だ。
がこれは活〆して即冷水で晒すのが手順だ。
コロナ禍になって、どうしたことか、豊洲市場で活魚が売れなくなり、業界紙「水産経済新聞」から活魚欄が消えた。
真夏の風物詩「スズキの洗い」が幻に。

形の良い「真サバ」が。
〆サバが美味だ。
「石持」のナメロウもいかす。
「アジ」も丸々と肥り、ズングリした形だ。
刺身が旨い。
「カマス」も形の良いのが、醤油ズケにして焼く、「刃魚」も手の平サイズが、勿論「バター焼」等が。
指二本の小さく捨てるには勿体無いので唐揚げにして食す。
近年千葉県で黒鯛の放流が。
夏でも「スズキ」に混じり目に付く。