KIRACO(きらこ)

Vol152 東京湾から令和を見る(15)「コロナ禍の海の番人」

2021年11月11日

湊町暮らし

海の生物資源を持続的に守る為には豊かな漁場環境が必要。漁師にとって東京湾は掛け替えの無い貴重な漁場だ。
東京湾は大小約50本ほどの河川が流入する河口湾で、淡水の恩恵が大きい。
その為陸上で生活する人々の行為が、いかに海への関心があるかが影響する。
日本は小さな島国である事の認識。東京銀座が海に面して即太平洋と繋がっている事に思いがあるか。こんな事を言っても仕方がないが、そこで漁師自ら陸の人々に情報を発信し理解を得られればと、漁船に乗っていただき、東京湾がいかに豊かな海か、また海から陸を眺めると地球の営みが陸で考えるのと、一寸異なる発想が得られると、御節介で浅はかな考えで即実行。
ところが人を気軽に漁船に乗せられない事が解った。実行するには厳重なハードルが。乗船者を旅客と呼び客船の装備をし、客の安全を確保しなければならないという。
そこで、幾多の備品を例えば乗客数分の救命胴衣や救命筏、助けに必要な発煙筒や警笛等、当然航行船舶としての各種燈火や漂形物や防火の為の消火器やバケツ等々書ききれないほど多数の条件をクリアしなければならない。
そこで必ず年一回の検査があり、その都度検査費用が4万円程、掛かる。
検査官の資格はどんな者か聞いてはいなが。元海上保安官で巡視船の船長だった方が検査された事があった。

漁船を旅客船にするには小型船舶検査機構に、すると申請書類が届き、希望する検査日と検査場所を。係船する港の地図等を明記し検査費用を添えて事前に申請する。決められた日時に検査官が来船しチェックし、合格すると後日、検査手帳や検査証書が合わせて船体に貼るステッカーが授与される。

今年はコロナ禍であらゆる対外的な行事が中止、三番瀬の見学会も。幸いにもワクチン接種が進み感染防止の警戒や制限が解除、これまで行って来た千葉市ヨットハーバー主催の巻網(施網)漁の見学会も、海は穏やか、喜び勇んで準備し順調に事が運んだ。巻網の操業が終わり、漁獲したスズキやサワラ等々を大きな容器に氷漬に、揚々と帰港、ヨットハーバーを目前にして小型高速艇の拡声器から停船を命じられた。
時刻はもうすぐ昼食の時間、ここで取調べを受ければ海洋教室に迷惑が掛かる。
港が目前で入港して対応すれば生徒を上陸させ昼食を取ってもらえると判断し、停船せずに入港した。巡視艇から保安官3名30歳前後の身長170~180cm程の屈強な若者達だ。

当船に認可済証のステッカーが貼って無かったから停船命令を出したのだと。
そうだ、ウッカリした、今回の検査では右舷の航海燈の不備を指摘され改善出来たら、その様子を写真におさめ報告を指示され、即刻点検し報告。すると、舷燈ではなく船尾燈だと言われ調べたら電球が切れていた。
瞬時に報告すれば必要な書類が揃い今回の事件は無かったのに。コロナ禍で船の運用が停滞し、ついこの様な失敗を、また運悪く小型船舶操縦免許証不携帯。検査証は小型船舶検査機構千葉支部に問い合わせれば事情が、当日が生憎の日曜日。

(つづく)

旬の味「大きな真鯛」

3〜4kgもある真鯛が、相撲場所に間に合えば優勝力士の祝いに。このコロナ禍では多人数の宴会が無く適当な需要が無い。そこで我が家にいつも集まる「チョイ悪オヤジ会」の肴にする事に。調理は本物の板前。三枚に下ろす、鯛はスズキ目だ。スズキ目は背骨がしっかりして頭を落とすのに骨がおれる。顔も正に兜で刃がたたない、兜を割るのに包丁を立ててハンマーで強打。刺身は勿論、荒汁が最高。特に目玉が5㎝近くの大物で堪えられねえ。コラーゲンの大塊りだ。真鯛は千葉県では放流しているので放流の経費の一部を漁獲者が支払う規則がある。「魚は鯛、人は侍、木は檜、米の飯に鯛の味」別冊歴史読本(雑学シリーズ、サカナの雑学事典、著者篠崎晃雄)