KIRACO(きらこ)

Vol158 東京湾から令和を見る(21)

2022年12月1日

湊町暮らし

「人類は生き残れるか」

「サスティナビリティ」「持続可能な」は、全ての人が目指す方向だ。人類の歴史は発見、発明、開拓、開発と、あらゆる進歩的な行為、行動は結果的に地球上で起こる原理、原則に則って成されて来た。

この動きは止まる所を知らない。

この流れは究極的に地球を侵蝕しこのまま流れに任せ無秩序に活動を持続すると、元々生物の発生を促し育んで来た地球環境が悪化し、人類の持続的生存が不可能かも、そこで今全力で対応すべき必要なこと、それは温暖化に因る気候変動だ。各地で発生する熱帯低気圧の巨大化、並びに他種の低気圧や不連続線の想定外の発達現象が世界各地で未曾有の豪雨や強風等が悲劇的な破壊をもたらしている。
 

一方一滴の雨も無く旱魃が襲い甚大な被害が、こうした自然の猛威を避けようと国際社会が団結し、困難を克服すべく、「脱炭素」「脱コロナ」に集中している最中に、ロシアのプーチンは時代遅れの領土問題で一方的に隣国ウクライナに攻め込んだ。ミサイルにドローンそして無数の砲弾でウクライナ全土を破壊。その上チンピラが懐から短刀をチラつかせ脅す様に「核」使用を仄めかせる。

曽て二〇三高地を巡る「日ロ戦争」の武士道は「ロシア革命」以後無くなったのか。プーチンの目指すロシアは偉大なロシアで無く、品位も誇りも地に落ちた貧相な姿に見える。

片や全世界を震撼させた「コロナ」はワクチンの早急な投与が功を奏し、明るい見透しが、計画的で安定した活動が戻りつつある。

これも世界が一丸となって取り組んだ結果だ。

こうした中で特定非営利活動法人「ベイプランアソシエイツ」の北海道東部、釧路湿原、野付半島、風蓮湖、三ヶ所のラムサール条約登録地視察研修旅行が計画された。総勢二〇名、日本近海で発生した台風が九州を襲おうと発達中に羽田を出発、天気予報は外れ「晴れ日が曇り時々雨」の二泊三日の旅となった。気の合った仲間とガイドのお蔭で三日間快適なバスの巡行と研修の時を過ごした。三地点共日本列島の東の端だ。東端の根室岬の納沙布岬に立った。ロシアが未だ居据わる歯舞群島が目と鼻の先に。島に立つ燈台が泳げば触れそうな近くに見える。知人が常任理事として運営する歯舞根室漁協に寄った。日本の北の冬厳しい海で誇らしく懸命に活躍する姿に敬意と感謝の念が込み上げて来た。

ラムサール登録地ではウエットランドの維持と守りの話を聞いた。どの担当者も前向で色々難題を解決しながら快活に熱く仕事に取り組んでいた。

仕事の目的が地球環境を守る事で有り、市民の余暇利用を有意義なものにし、価値観が多様化する時世に自然環境に関心のある人々を一手に引き受ける気迫が伝って来た。シタシタと忍び寄る環境破壊に立ち向う活躍に心から感動し、東京湾の「三番瀬」も徐々なる破壊から守る為に早急にラムサール登録に、登録の効用を目の当たりにした。その物が「ブランド化」され、経済的効果も顕著で、「街おこし」の絶大な原動力に成っていた。このことは街の誇らしげな明るさからも見られ、街も美しかった。人類の持続的生存への弛みな無い努力と自然環境への拘りが必要だと感じた。

旬の味 多獲魚「コノシロ」

庭にミカンと柿が。ミカンは青くても甘い、柿は真赤に鮮やかに輝いた方がいい。10月上旬海が10日も時化た。この時期、季節の変わり目で夏の気温が急激に下がると、海水温も降下する。東京湾では夏暖められた表層水温が下層水温に近づくと、夏蓄積された貧酸素水が秋に吹く北東風に因って海表に浮上し空気と触れエメラルドグリーンに輝く。これが青潮だ。

原因は貧酸素の正体である硫化水素が空中の酸素と結合し発生した硫黄の結晶が原因だ。この時魚達は青潮から逃げる。青潮が消え、酸素が供給され上下の海水が混ざり合い、魚が活発に。こうして秋、魚種が増え、漁場が豊かに。秋鰯に最高の時だ。が今年も東京湾に鰯が見えない。コノシロの番だ。