KIRACO(きらこ)

Vol167「昼」昼九 夜八 船六って何?

2024年5月30日

漢字を楽しむ

この字の旧字体を知っている人は相当の文字通である。誰が認定したと聞かれると困るから、私が、ということにしておく。だから権威も価値も何もない。

昼の旧字は晝、一見似ても似つかないようだが、晝の草体という。常用漢字として形が似ている尽も盡の草体、同じ仲間であった。晝は太陽が輝く限られた時間という意味らしい。晝から昼へ、旧字体から新字体へ字形全体が大きく変わった文字としては、円・体・万・与・欠・写・旧・当・台・寿・弁・画・竜などを挙げることができる。旧字はどうであったか、頭の体操と思って挑戦してみられたらいかが。ここでは最後尾での解答を省略するので、拡大鏡を急いで取り出さなくて結構。

昼は日の出から日没までの間、太陽が空にある間。特に真昼、正午をいう。また昼飯をいうこともある。これだけと思っていたら、真夜中のこともいうようだ。ん?これは盗人仲間の隠語であった。知らなくて結構、日常的に使うようでははた迷惑である。

昼九(ひるく)夜八(よるはち)船六(ふなろく)、と江戸の比喩をまとめた本で出合った。酒を盃に注ぐ時と所による適当な分量をいったもの。経験から割り出したのだろうが、どうだろう。

昼は夜になってからといい、その一日が良かったか悪かったかは夜になって分かる。一生は棺を覆うてからのちに、または覆ったときに定まるともいう。人物の是非はその人の生涯を見届けてから論じるがよい。昼には目あり、夜には耳ありで、秘密は漏れやすい、昼過ぎの衣装はちょっと古くなった衣装、などなかなかうがった表現も探せばあるものだ。

四字熟語に昼夜兼行がある。昼も夜も休まず行くことから、転じて昼も夜も働くこと。昼は茅刈れ夜は縄なえと働くのもいいが、まず健康を第一に考えないと、過労死になってからでは遅すぎる。