習志野市役所に出かけた。ついでに朱肉とスタンプ台を買って帰ろうと、案内係の市の職員の女性に尋ねた。
「このあたりに文房具屋さんは、ありませんか」
職員さんはメモを手渡して、丁寧に説明してくれた。
市庁舎の前の細い道を、国道14号線に向かって進むと丁字路になる。つきあたりが事務用品の岡野商店。
行ってみました。
小さなお店の壁面いっぱいに文房具。「事務用品」というより「文房具」と呼びたい品々がぎっしり。
懐かしい。どれも手に取って眺めたくなる。
これだけの品揃え。大型店では及ばないだろう。
朱肉とスタンプというとおじさんはスッと出してくれた。
文房具に見入っていると、おじさんの姿がない。
見まわすと、私が愛用しているエンピツ「MITSU-BISHI-uni」がずらりと並んだその奥に、埋もれたようにおじさんがいて(おじさん、ゴメン)、領収書を書いてくれていた。
この町にはずいぶん長く暮らしている私だが、こんなすてきな店があるのは知らなかった。以前は自分の車で移動していたから、何度も通った道だが気がついていない。
あのおじさんに、文具・事務用品の「今昔」を語ってもらったらおもしろいだろうと思いながらベッドに入ると「あれは夢だったんじゃないか」という気がした。
(郁)
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