掃除・掃海などの掃。はく・はらうの意味。掃除ははらい清める。掃海は航海安全の目的で危険物を海中から除くこと。
掃は扌+帚(ほうき)。白川静博士の説によれば、木の先端に細かい枝葉などをつけて帚の形にし、これに香りをつけた酒をふりかけ、祖先の霊を祭る廟の中を祓い清めるのに使ったものが帚で、それを手に持って廟を祓い清めることが掃であるという。
最近、というか少し前になるだろうか。婦人という文字には、女性軽視の思想が潜んでいる。帚を持つ女の人、女性はいつも掃除をしなければならないのか、公共の施設に婦人の名を冠するのは反対だ、女性とすべきだ、と声高に唱える人がいた。人前で発言するなら、少しは調べてからでなければいけない。婦人の帚はゴミ掃除ではなく、精神的にもっと崇高なものだった。
漢字を分解して、自分勝手に解釈するととんでもないことになる。いつか「私のいう、いい話を聞きなさい、信じなさい。信ずる者は儲もうかると書きます。だから╳╳万円お出しなさい」とやって、相当の荒稼ぎをしたペテン師がいたそうである。
ついでながら、児童生徒に教室内外の掃除をさせないでという意見が強くなっているそうである。家庭でやってないのに、と理由付けしているらしいが、これは本末転倒もいいところ、困ったものだ。
掃や婦の帚の上が、常用漢字はヨになっている。浸・雪・尋もヨになっているが、書・津・静などはヨの中の線が突き抜けている。これは縦の線が貫いているからで、君・事・筆・健・康などと拾い上げてみれば納得できると思う。
この春も中国へ行ってきた。いろいろな簡体字に直接お目にかかった。ある種の謎解きをするような気分で読んだ。掃は扌+ヨだった。帰・婦もつくりがヨだけになっていたヨ。
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