毎回隔月に、小包郵便で届くKIRACO。開封の手間も惜しいくらいにワクワクしながら、すぐにひと通り目を通します。
時にはそのままお昼ご飯を素通りしてしまう事も…
先月号もそうでした。「三十周年記念号!」
それぞれ活気に満ちていて読み応えがあり、つい引き込まれてしまうのでした。
中でも皆さまご存じあの田辺一鶴師匠のお弟子さん、田辺鶴遊師匠がずっとお書きになっている「一鶴遺産」、毎号流れるような素敵な文章…いつも楽しく読ませて頂いています。
で、先月号に記されていた「有遊会」という懐かしい会の名!一気に私を若い頃に引き戻してくれました。当時の記憶が蘇って、浅草公会堂の会場の場面がありありと目に浮かんで来るのでした。
その頃お世話になった小島貞二先生…。白いおヒゲの一鶴師匠!
放送作家の遠藤圭三先生、
更には、回文の好きな私の為に、あのサンリオを紹介して下さって、「回文カルタ」の発売に向けご尽力下さった、ご子息の小島豊美さんなどなど!
どんなに感謝しても足りない…そんな想いが今、こみあげて来ています。
あれから私は「逆さ歌」にのめり込んでしまって、ついテレビの方に気持ちが流れ、時にはサボることも。
でも、有遊会の集まりに出席するのは当時の私にとって最高の脳トレなのでした。
そこでは例えば何か一つ「お題」が出るとします。それに頓智を利かせた回答を即席で五,七,五などに纏めて答える。それを小島先生とか遠藤先生とかプロの方が選んで一位、二位…と発表。
賞品は皆さん持ち寄りの、これまた立派な…例えば~そう、いまも私、重宝して使っているのですが、ピクニック用の可愛いデザートセットとか。
そして何よりも大切にしているのが小島貞二先生ご自身のデザインによる男女共用の立派なエプロン!
これは若しかしたら会員全員の皆さんに渡った?のかもしれませんが、先生のご考案なのです。
前面に文字の列で「在」という字が細かく十六個も描かれているのです。
ご説明も頂きました。
「在」という字は「アリ」とも読む。つまり「ありが十(とう)」次の五つの在は「ざい」と読ませ、《ござい》
で、残ったひとつの「在」。
これがなんと「ます」とも読むのだそうで。
ことほど左様に先生はすべてが頓智、なのです。
でもここで或る逸話を思い出すのですが、先生にはお嬢様がいらして、先生によく似てスラっと背の高い美しい娘さんでした。
この方が結婚なさる時、有遊会からもご出席の方多かったらしいのです。
小島先生、一人娘を手放すことが余程お寂しかったらしくて、立っていられないほどの泣きようだったとか。
でも私には、いかにも小島先生らしい素直な愛情表現だなあ…と。未だに微笑ましい気持ちで思い出しているのです。
同じように一鶴師匠にも沢山の思い出が…
何しろ、ある日いきなり
「中田さん、回文の作り方講座みたいなものを、今度本牧亭で一席、やってみませんか?」
とのお言葉です!
その頃の私、まだ若くて、まさに「怖いもの知らず」
とても嬉しくてなんと即決でお返事していました。
「はい、是非!宜しくお願い致します!」
上野の本牧亭の名は主人が落語好きでしたからよく聞いてはいましたが、今だったらとてもおいそれとは!
結局二度ほど天下の寄席の舞台を踏ませていただいたのでした。
その時の模様ですが、残念ながらもうスペースがありません。
是非次回にでも書かせて頂きたいものです。
印象的だったのは一鶴師匠の楽屋での出番待ち。そして舞台の袖へと続く、剣の切っ先にも似た凍り付いたような空気の中、目を閉じて集中力を高めるかのように諸手をお腹に当てて立ち、そのまま沈黙の数秒!
ややあってご自分を鼓舞するかのような猛烈な勢いで「ポン!」とただ一度、袴の上からお腹を叩く。
閉じられていた両の眼はカッと見開かれ、ただそこにあるのは
「天下の講釈師、田辺一鶴!」
有遊会での思い出はまだまだ尽きません。
でもその頃、鶴遊さんが有遊会に出ていらしたとは!
もうただ驚きでした。私達初対面ではないのですよね…きっとどこかですれ違ったり?
有遊会の想い出、是非ぜひ聞かせて下さいね!
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