いい女、ブッ散らかして…
珍しくヒマな時間ができた。うれしい。本が読めるゾと思った。入院。だからうれしいはずはない。でも本が読める。
まず、阿川佐和子さんの『いい女、ふだんブッ散らかしており』を手にした。
―仕事の資料、原稿…。大きなテーブルの上はいっぱい。さて、ご飯というときにはそれらをとりあえず床に並べておく―というようなことが書いてある。
「いい女、ふだんブッ散らかしており。いい男、金と力はなかりけり」と昔から言われているそうだ。いい男…の件は知っていたが、ブッ散らかしているのがいい女だとは…。
私の周りはブッ散らかっている。私も「いい女」の部類かしら。
原稿用紙、レイアウト用紙、ボールペン、エンピツ、消しゴム、カッターナイフ、トレーシングペーパー、ハサミ、モノサシ、記者ハンドブック、電子辞書、校正紙、原稿の山、取材ノート…。とりあえず手の届くところに置く。
ブッ散らからない訳がない。
以前は広げた原稿用紙の上に猫がねそべっていた。ふわふわのおなかを押してスペースを作り字を書く。数匹いた中には原稿用紙の角をかむ子がいて「すみません、うちの子が…」と詫びつつ印刷屋さんへ持ち込んだものだった。
ああ、また猫と暮らしたい。 (郁)