東京湾から令和を見る(12)
「コロナ禍だから見えたこと」
下火に思えたコロナの流行が英国で発見された変異種の出現で感染者数が増加しワクチン接種が待たれる。
この様子ではオリンピック開催が危うい。同業者で目敏い者がオリンピックで一山当てようと奔走、環境問題等無関心が急にエコラベルを取得しようと死に物狂いで様々手を打ち、取得条件を整える為に、「資源保護」を自らリーダーとして活動している風を組合会議室に漁師を集め、あたかも常に行っているジェスチャーを展開。
申請の為の体裁を整え、水産庁出先機関、エコラベル関係者にアピール、組合も市も県も、水産庁が進める新事業に協力する形でエコラベルを取得する事に。
その最中にコロナ禍が、オリンピック開催が見送られた。一年が経過し今年の夏に開催することに、これに合わせて水産加工場を組合施設内に建設している、勿論多額の補助金が出るからだ。その矢先に再びコロナ感染拡大が。
一方資源保護をキーワードに国連指導の地球環境保全持続を基にして水産資源持続可能政策が。
日本政府、水産庁も資源減少を注視し、海洋資源即ち魚資源を将来に向かって豊かにしようと考え、漁師に乱獲防止を迫っている。
しかし多くの人が自覚しているように地球環境を破壊したのは人類だ。
山を崩し、川を堰き止め、水辺を埋め立て、草原、森林、熱帯雨林を整地し、都市、港湾をそして道路、鉄道を、どれもが野生生物の生存を否定して来た、今も続いている。
魚族の減少は漁師の乱獲も。が多くは魚の生態系に関わる、産卵、養育の場が消滅したことに有る。
資源の減少を漁師の責任に、無責任だ。正確に原因を明らかにしない限り、精度の高い対策は望めない。
一方プラスチックゴミ、マイクロプラスチックが問題に。
漁師も水産界も頭を悩ませている。なぜなら昔は木船、魚を運び売る道具、トロ箱、樽は全て木だ、今は発泡スチロール箱、プラスチック樽、漁網も木綿からナイロンに漁船はグラスファイバー、網の修理に使う網針も竹からプラスチックに、ロープも何もかもプラスチックだ。
ざっと考えても全て束ねて考察しなければ解決しない。
人類が無意識に欲望のままに過ごして来た事が原因で魚場環境が破壊的打撃を受けた事を反省すべきだ。
一方コロナ禍で人の行き来が止まり、魚料理のプロが働く場は、人の集まりが禁止された料理屋、レストラン、居酒屋、ホテル、旅館が開店休業状態。
その為仕入所の市場に人が来ない、魚が売れない、値段は暴落。漁師は漁獲はあっても売れない。
生殺し状態だ。収入が減れば乗組員の給料が払えない。これまでは不漁でもやって来た。それは漁が有れば売れる、稼げるからだった。
コロナ禍で凌ぐには固定費が小さい程良い。それは日本の巻網は船団方式で、その為乗組員の数も多い、船も複数使うから、メンテナンスも掛かる。燃料も、やはりノルウェイ式の単船操業が考えられる。一隻で網も魚も積み、乗組員数も1/2、1/3に縮小出来る。(つづく)
旬の味
コロナ禍で孤独とコミュニケーション不足が心を苛み、うつ病や諸々の健康被害が生じることが明らかに。一人で飲む酒まずい酒、一人でする食事も味気無い。出来るだけ注意をして好きな人と数人で飲食したいのが人情だ。
今船橋港に揚がる魚介はコハダ、スズキ、イシモチ、クロダイ、ビノス貝等だ。鮮度の良い魚介は調理法を選ばない。
残念なのは市場価格、東京市場豊洲での相場が安過ぎてがっかりの連続だ、将来に流れはどうなるのか心配だ。魚ばなれは続くのか。
水産経済新聞市況欄からスズキ、コハダの名が消えた。マグロ、ブリ、イワシ、アジ、サバ、エビ、イカ。
馴染みの名前はそろっている。