先日、新聞社のベテラン記者と、元文学青年の新聞販売店店員さんと話す機会があった。
——インターネットで欲しい情報はすぐ手に入る時代になって。若い人たちは新聞を取らないんですってね。
——朝、新聞を拡げてインクの匂いを嗅ぎながら紙面に目を凝らすひととき…。よかったのにねえ。
——ペーパーレス運動に参加したからと購読を断わってくる人もいるんですよ。
——契約書とか規約とか、読みもしない書類は確かに多いですよね。でも、新聞やタウン誌は別。「心の栄養」と言ってくれる人もいる。それがもはや「絶滅危惧種」。
絶滅危惧種(レッドリスト)。
絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト。国際的にはIUCN(国際自然保護連合)が作成しており、それには約3万8543種の野生動物の名が記されている。
国内では環境省が公表しているレッドリスト2020には3716種とあり、前年より40種増加している。
レッドリストはこれだけではなく、各県や学会などでも独自のものが作成されている。
そのおびただしい数に驚くばかり。あるNPOの男性の言葉が忘れられない。「失って初めて気がつくんですよ」。
(郁)