二十人木にのぼる、何という字か? と藪から棒に聞かれ、分からなかった。茶はいつも終わりのところをホと書いていたものだから、木まではとても気が回らなかった。渋くはないほろ苦い思い出。
茶は初めから茶ではなかった。草かんむりに余だったという。余は伸びるの意味で、伸びた新芽を摘んで飲料とするもの、茶の意味に使われた。荼の字はふだんほとんど使わない、火葬にすることを荼毘に付すと使うときぐらいだけかも。
茶は薬として始まった、と岡倉天心が『茶の本』の冒頭に書いているように、中国でも日本でも古書にもいろいろと書かれているそうである。最近では緑茶が花粉症に効くと報告された外、C型肝炎の治療、大腸菌O-157の殺菌、ガンや肥満の予防など、たいへんな優れものとして脚光を浴びていると聞く。
茶というと、茶の木、飲み物としての茶はふつう緑茶をさし、抹茶、茶道、茶色などとそのときどきに応じて使い分けている。お茶とすると、単に茶を丁寧にいうだけでなく、茶の湯、仕事の中休みの意味にもなる。人を誘ったりして飲むときは、コーヒー・紅茶と本来のお茶とは違った飲み物になるのだからおもしろい。
紅茶といえばイギリス、消費量は日本の約四倍だというから驚く。紅茶にミルクや砂糖を入れる英国式、レモンを入れるアメリカ風、ジャムを加えるのがロシアンティー、緑茶にミントの葉と砂糖を加えて煮出すアフリカのモロッコなど、茶の味わい方にもお国柄があるようである。
茶色はなごみ、落ち着く色である。江戸時代は流行色の一つだったが、色の名前として定着したのもこの頃から。それまでは朽ち葉・桧皮・落葉など物の色で茶系の色を表していた。
では、この辺で、やっぱりお茶にしません?