KIRACO(きらこ)

Vol148 東京湾から令和を見る(11) 「禍は人にあり」

2021年3月11日

湊町暮らし

東京湾から令和を見る(11)「禍は人にあり」

この厳しいコロナ禍はいつまで続くのか。が、必ず終わりが来る。

その後の変化は識者に因って予測されているが誰にも解らない。確かなことは脱炭素社会の到来だ。日本の保守、開発先行の自民党が2050 年には気象変動の原因とされる温暖化ガスCO₂をO にすると内閣総理大臣が宣言した。米国に於いても前大統領トランプ氏の石炭、石油の石化燃料推進政策を改め、バイデン新大統領は即刻パリ協定に復帰しCO₂削減を推し進める旨を発表。これに先駆け中国もCO₂削減を前面に電気自動車推進を声高に宣言し、対米国意識をあらわにしている。

世界は正にエネルギー革命の感がある。が一方ではニューヨーク原油先物価格が一年前は(−)40$に下落したが、現在では60$にせまる上昇。飛行機が飛ばず航空業界が大不況、石油の消費も減少、が海上ではコンテナ船が好況だ。いずれも燃料は石油だ。冬は暖房を使う、CO₂排出0はかなり難しい。コロナに因る死亡者が急増した。が人口は増え続けている。いずれ食料が不足するとコオロギ等昆虫を養殖したり、漁業に於いては計画生産を考え養殖魚がもてはやされている。

頭脳集団も加わり科学的に予算も潤沢に国家レベルで進行している。合わせて国連宣言の持続可能な開発宣言に沿って、水産行政も資源保護を前面に乱獲防止を強力に指摘し資源の減少は乱獲に因ると言っている。本当にそれだけなのか、科学の進歩により、レーダー、魚群探知機、航海器機、漁船漁具の進歩が著しい。これ等を駆使して漁獲能力が向上したことは火を見るより明らかだ。が、大事な事象に目を背けてはならない。生物は地球が元々有する自然環境の中で必然的に創造され生きて来た、悠久の時の流れの中で出現し消滅し絶滅した多くの種がある。その中で人類の出現は始まったばかりといわれている。人類史は自然環境を大きく変えて来た結果、生物界を支配することになった。

人の生存は衣食住そして移動手段、これはエネルギーの質と量の歴史であり、水力、火力、木、炭、化石燃料、原子力。日本は米国の黒船来航以来石炭がエネルギーの主役となり、それ以後近代化が、太平洋戦争終結以後石炭から石油に、東京湾岸に石油コンビナートが出現し、日本のより高度な工業化、それによる経済発展に貢献、それは自然環境には目もくれず開発に継ぐ開発、経済発展こそが総べて、当時これが世界的動きでもあった。

海や湿地を陸地化し森林をつぶして平地に、その結果地球温暖化が顕著に。地球環境の悪化は異常気象を出現し、大規模な暴風雨が猛威を振るい様々な大災害を引き起している。このことを産業界も金融界も現象は重大な人類の損失であると認識し、結果国連では無秩序な乱開発を諫め、「持続可能な開発」を掲げ、日本の水産界に於いても持続可能な漁業活動、具体的には、乱獲の禁止、資源保護を主張。

資源の減少は漁業者自身に有ると様々な規則や規制が生まれ強制される。魚の減少は埋立に因る浅海域の消失、合わせて河川の生態系を無視した改修等々による魚の棲家、産卵場所の破壊消失、森林伐採による河川からの栄養塩の減少、町や工場からの海岸汚染、温暖化に因る海水温の上昇、これ等が生棲域を悪化し、魚の数を減らし育成を阻害する。

漁業資源の減少は漁業者の動向だけ指摘するので無く、人間の生存による必然的自然界への影響を忘れてはならない。具体的例に大平丸を見ると、漁場は法律で東京湾内。千葉県海面、内湾とは富津崎と観音崎を結ぶ線の以北、東京湾は神奈川県、東京都、千葉県沿岸を有するので海面が三分割されている。

近々の変化は太平洋戦争後76年前には内湾域全体は広大な干潟の海だった。干潟は水深0から5メートルの干潮時に干出する「豆ガニ」や「ゴカイ」「磯ギンチャク」等々小動物の楽園だった。この浅海域が川崎沖から東京沖、千葉県側市川市から富津市まで続いていた。そこが季節に沿った水温の変化、海水の自然浄化、稚魚の餌場であり湾特有の多種多様な豊かな漁暦の生態系が存在した。  (つづく)

旬の味「酒は肴と連れ次第」

美味い酒が飲みたい、美味い肴が食べたい。美味い物は小勢、仕事は大勢。が、一人で飲む酒まずい酒。問題解決に食事、恋人をつくるのも食事、国家間の外交にディナー、勿論酒は手放せない。

今ワインに凝っている、一般に魚介類は白ワイン、肉類は赤と言われている。庶民的な良く冷やした白ワインは飲み口も良く、軽やかで飲み過ぎる傾向がある。経済的に考えると日本酒の方が効率的だ。

シャルドネしか知らぬ輩の言だ、赤もカベルネソビニオン、メルローしか知らぬ者の言は聞き流すだけだ。

ワイン選びは試飲出来れば良いが普通は目でラベルを見、ビンを見、値段で判断する。その他栓がスクリューか合製コルクか天然コルクか。コルクが長いか短いか、ビンの尻の凹を指で探り手応えのあるもの。味は好みがある勿論香りも。

コロナ禍で孤独な日が続く一人者。悲劇だ、肴は誰が作っても同じではない。そこで友人を選ぶ、和食の板前だ。魚は漁師が。2月は資源保護月間だ。