スズキの旬は夏だ。だから年間で価格の良い時は夏ということになる。それは今も昔も変わらない。東京湾が埋め立てで狭められて以来船橋では「スズキ」の水揚げが年間通して見られる。魚の漁暦が無くなり、底物ねらいの底曳網が年間漁獲するものが少ないためにスズキを追っている。刺網も、巻網も、何時の間にこれが当り前になっていた。気が付くと船橋は「日本一」スズキの漁獲のある所になっていた。因みに「スズキ漁獲」の番付は、平成20年調べで千葉県が2893トンで1位、2位1781トンで兵庫県、3位955トンで神奈川県。千葉県内で東京湾で1959トン水揚げされ、内船橋で1127トン、船橋が「日本一」ということだ。このことを誰も知らず、また知っていたとしても声高に言う人がいない。
真夏のウダルような暑さで食欲が減退した時食う魚が白身の「スズキ」だ。真夏に食通は赤身の魚は食べない。活〆したスズキを「洗い」で食す。典型的な真夏の料理だ。
スズキの塩焼きもいい。スズキの切り身を鉄串三本で止め、遠火でじっくりと皮にコゲ色が付くように焼き上げる。皮はパリッと歯切れが良く、油も適当に乗り、それでいて身は引き締まり、さわやか。美味だ。また、塩をきかせず、ホワイト・ソースで食すもよい。
我が家のソースは、アサリ、ニンニク、セロリ、パセリ、バジル等をオリーブ油でいため、この汁を漉して、生クリームを混ぜ、塩、コショウで味を調整する。 (2001年7月)
「スズキ」漁は昔は昼間だったが、倅の時代には主に夜間操業だ。この猛暑には理に適っている。この時期食欲を誘うのは「スズキの茶漬」刺身を醤油漬けにし、茶碗の飯の上に海苔を被せ熱い茶をタップリと掛け、ザクザクと食う。味の調整は醤油とワサビ。
実にうまい、甘露甘露。