世界が平和で万人が幸せに成る事が万人の望みだ。しかしどんなに望んでも自然災害があり人間社会を崩壊する。近く我国に於いて、東日本大震災、能登震災、大雨による山津波や洪水、これらの災害を減らす努力は全人類の願いで人知がその方向に有るべきだ。
一方人間は愚かで戦争を始めて自然災害以上に人を殺し、全ての建造物を破壊する。戦争に掛けるエネルギーや資金が有れば自然災害の損害減少が可能だ。飢餓や貧困を救えるのに。他方良かれと進る行為に開発が有る。開発の名の元にどれだけ自然環境を破壊したか。大平丸の仕事場は東京湾だ。湾は1945年太平洋戦争終戦を機に大変貌した。富津崎と観音崎を結ぶ線の以北東京内湾域は浅海で沿岸域は2~3kmが干潮時に干上がる干潟が川崎市から東京、船橋市、千葉市、木更津市、富津市と間断なく延々と跡切れ無く続いた海が埋立、浚渫に依って陸地化し、干潟の海が消え別世界が出現した。貝や魚の揺籃の場が失われ生態系が失われた。
これは日本経済の復興と云う正義が行われた結果だ。これを冷静に受け止めて何が失われ結果はどうなのか検証していない。次のステージに移る為には冷徹に計算された目で見る事が必要だ。大変化した湾で生活する漁師にも理解出来ない事象が出現している。鮗(コノシロ)が大発生している。昨年実績、船橋漁協所属小型旋網1、中型旋網2、旋網漁業3船団で約2500トンの水揚が(中型旋網は水深8メートル以浅は操業禁止)。鮗は浅海を好み今年も東京から千葉迄の湾奥部浅海域が主漁場だ。鮗の価格は平均kg37円このインフレ市況で格安の蛋白源だ。鮗はニシン科で幼魚は新子、小肌と呼ばれ江戸前寿司のホープ。¥500〜 ¥2000/ ㎏ 但し種物なので1トン以上漁獲すると暴落する。成魚は体長25センチ程で正月に卯の花漬けで食される。
現存時化が多く操業実可動月7日程で1日に約90トン水揚だ。10月11月12月と来年1月2月と5ヶ月を昨年実績から2500トン予想している。世界的インフレの原因はロシアのウクライナ侵略戦争だ。この為ロシア産の天然ガスがストップ、欧州への供給が止まり、エネルギー価格高騰。小麦の世界的産地ウクライナの戦場化で食糧価格が世界的高騰これで全世界がインフレに。日本も例にもれない。この中で蛋白源の鮗は貧困で苦しむ民の頼もしい救世主だ。今世界中が気候変動に因って旱魃や豪雨で農作物の不作や家畜の餌、牧草の不作が蛋白源の不足にアフリカ大陸内では湖沼の不漁、これに鮗が代替に一方世界で広がる養殖魚の餌に、安価な鮗の活躍は無限だ。世界の人口増に伴う食料不足蛋白源の供給に昆虫食が、有望株コオロギ生増業が早過ぎたのか売れ行き不振で倒産のニュースが。安い良質の蛋白源が原因か。開発全開の東京湾奥でニシン科魚がなぜ大発生したのか安い魚だから無関心なのか国家を動かす政治は経済優先、国民の関心も経済。103万円の壁も人の仕業、刻々悪化する地球環境はどうする。
幕末以降薩長に敗れた江戸では長州で珍重するサッパ(ママカリ)と小肌を対比「サッパも魚かオサンも女か」と囃す。小肌とは別種オサン=オサンドン=女中・下女
旬の味「鮗」
太田道灌が江戸城を築いたのは1456年この切っ掛けは渋谷入江で舟遊びをしていた道灌の小舟に鮗が跳ね込んだ、その時呼んだ「コノシロを取った!城を建てるぞ」と云ったとか。この頃の武将は鮗を食したせいか骨が有ったなんてこの時代船橋村の名が有るのは船橋海賊の活躍だ(1470―1492)太田道灌(1432―1486)。小肌は新子の時寿司に、片身で足りず開きかそれでもの時は二匹使う。身は柔らかく美味だ。鮗の刺身は骨っぽいので千切に、食す時はハシで身を束ねて食すと旨い。小肌は勿論江戸前寿司の本命だが「カルパッチョ」も「マリネ」もいける美味だ。鮗を三枚に下し塩で半日、一週間程酢漬けに、骨は気にならなくなる。鮮度の良いものを使用する、目が赤いのはダメだ。
他の記事を読む